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On the Production
by 井口健二
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■特集:東京国際映画祭(コンペティション14作品+レイン、遊園驚夢、ヴィドック)
仕事を頼んだ田舎出で純朴な録音技師の青年との出会いと別
れ描いた恋愛映画。2人は相思相愛だが、女性は結婚に踏み
切れない。その思いは、多分男性より女性の観客に受け入れ
られるのだろう。                   
映画の中で若者の祖母が語る「行ってしまったバスと女は追
いかけてはいけない」というのは名言だとは思うが。   
オーチャードホールの上映では、多分在日の韓国の人たちが
大勢観客席を埋めていて、舞台挨拶でも通訳の前に歓声が上
がるのが素晴らしかった。               
エンディングテーマ曲を松任谷由美が提供している。   
                           
『ゴール・クラブ』“Goal Club”       
社会問題でもある、タイ国のサッカー賭博を扱った作品。 
主人公の仲間たちは高校でサッカー部に所属し、卒業するが
簡単には職に就けない。そんな中で主人公は自動車登録の代
行業に就くが、テレビ中継のサッカーの結果を言い当てたこ
とから、サッカー賭博の胴元に気に入られ、その世界に踏み
込んで行く。                     
監督は元々コメディが専門で、この作品も当初はコメディの
予定だったが、取材をして行く内にシリアスな部分が増えて
いったと語っていた。コメディの調子が徐々に問題提起につ
ながって行く展開は図らずも生み出されたもののようだ。 
タイの映画は一昨年のコンペティション部門に『ナン・ナー
ク』が出品され、僕は好きな作品だ。今年は特別招待作品で
『レイン』も上映されているが、最近注目される映画の国と
言える。                       
                           
『化粧師−KEWAISHI−』            
 石ノ森章太郎原作のコミックスを、CM監督出身の田中光
敏が映画化。大正初期の日本。女性が自立して行く社会情勢
の中で、化粧をすることで女たちを導いていった化粧師の物
語。                         
化粧師というのは本来は遺体に死に化粧をする仕事のようだ
が、この主人公は生者を相手にする。そこには貧しさの中か
ら希望を見いだそうとするものや、自分の本来の姿に気付か
ないものもいた。                   
今年の日本からの出品は2作共にコミックスの映画化になっ
た。どちらもストーリーがしっかりあるので、その分見てい
て気持ちが良い。特にこの作品については、時代設定も面白
い時期で、テーマが良く生きていた。          
時代背景を出すvfxも決まっていたし、近江八幡で撮影さ
れた日本の原風景のような自然の背景も良かった。    
                           
『アナム』“Anam”                  
主人公は、ドイツで掃除婦として働くトルコ人女性。外出の
時はスカーフを忘れることの無い保守的な彼女だったが、夫
の浮気が発覚し、息子は麻薬中毒で家を出てしまう。そんな
悲惨な状況でも、彼女は常に前向きに進もうとするが。  
いろいろ問題の多いドイツのトルコ人だが、健気に子供を守
ろうとする母親の心は変わらないというところか。彼女の仲
間のドイツ人女性とアフリカ出身の女性、それに息子の恋人
と自分の娘、女ばかりドラマは監督もトルコ出身でドイツで
学んだ女性の作品。                  
『ワンダーボーイ』もそうだったが、こういう人材の育つド
イツ映画界が素晴らしい。               
                           
『殺し屋の掟』“Mr.In-Between”       
謎の男の命令の下、理由も聞かず精確に人殺しを遂行する殺
し屋。しかし彼自身は振り払うことのできない殺しの回想に
精神はずたずただった。そんな彼が街で学生時代の仲間に会

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11月04日(日)
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