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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File067】Auf Wiedersehen Steiner・・・【追悼ジェームズ・コバーン】
身の回りの忙しさとPCの不調の為、更新を2週間近くもほったらかしておりまして、観戦武官諸卿に対しては誠に申し訳ない次第であります。さて今回は前置きはさて置いて、早速本題に入らせていただきます。

【突然の訃報・・・】
皆さんも既にご存知の通り、11月18日戦争映画ファンを自称する方々にとって最も著名な俳優の一人が世を去りました・・・そう彼の名はジェームズ・コバーン℃ゥ宅で夫人と一緒に音楽を聴いて寛いでいる時に心臓麻痺に襲われ、搬送先の病院で息を引き取られたそうです(享年74歳)戦争映画ファンなどと自称していると、過去様々な俳優の訃報に接して来ました・・・ジョン・ウェイン、スティーブ・マックィーン、三船敏郎・・・しかし正直言うと、今回のジェームズ・コバーンの訃報に接した時ほどの衝動が沸いた経験はありませんでした・・・何故・・・いろいろ考えた挙句に思いついた結論・・・それは戦争のはらわた≠ニいう戦争映画の存在なのでした・・・。

【戦争のはらわた】
1977年、それまでの戦争映画のイメージを変えたエポック・メイキング的作品と言っても過言ではない作品・・・バイオレンスの帝王∞殺戮と鮮血の美学∞スローモーションの映像美≠ネどで知られたサム・ペキンパー監督による『戦争のはらわた(原題:CROSS OF IRON)』が日本で公開されました。内容に関しては今さら言うまでもありませんが、ドイツ軍の敗色の色が見え始めた1943年の東部戦線黒海戦区を舞台に、歴戦の古参下士官と彼の率いる小隊が、鉄十字章≠ニいう名誉欲に駆られたプロシア貴族出身の中隊長の策略によりロシア軍後方に取り残され、多くの犠牲を払って脱出するまでを、ドロドロに汚れきった人間模様と肉弾と鮮血が飛び散る激しい戦闘を絡めて描いた、戦争映画のみならず映画史上にも残る名作です。主役のシュタイナー軍曹(伍長や曹長などと表記される場合もありますが、ここでは軍曹≠ノ統一させていただきます)は、寡黙だが体の奥底から真の男の強さを醸し出し、戦功よりも日々生き残る事を重視する古参下士官、対する中隊長シュトランスキー大尉はプロシア貴族出身で旧体制の呪縛に捕われ、名誉欲に取り付かれており、部下を顧みない実戦経験の無い将校。この二人を核にした人間臭さ溢れる登場人物たち、一癖も二癖もあるシュタイナー小隊の兵士たちや、シュタイナーを見守る連隊長や連隊司令部付参謀、シュトランスキーに取り入る同性愛者の部下など、戦場という極限の状況下でグツグツ≠ニジックリ煮込まれた寄せ鍋(人間ドラマ)≠ェこれでもか・・・≠ニ言う程のペキンパー流味付で仕上げられています・・・う〜む、ゲップ!戦後、西ドイツで製作される作品以外では、余りメインキャラとして取り上げられる事の無かったドイツ軍兵士≠主人公に描いた事、大半の戦争映画における敵(ここではロシア軍)=∞悪役(憎まれ役)≠ニいう公式を崩し味方≠フ中に悪役≠描き出した斬新な設定、血を噴き上げ肉片を飛び散らせながら倒れていく兵士の姿、銃火器の発射炎や弾倉交換・排莢シーン等を、お得意のスローモーション≠竍アップ≠フ多用によって観客の目に焼き付ける手法、余りの残虐描写の連続から当時流行っていたスプラッター映画死霊のはらわた≠ノ肖って命名された最低≠ネ邦題、凝った登場人物設定やそれぞれの軍装、二次戦当時の実物兵器の数々・・・「プライベート・ライアン」を遡る事20年以上も前に、これ程の作品が作られた事に感動と共に驚愕を禁じ得ません。
戦争映画史上最大の謎についてはコチラ

【その男・・・ジェームズ・コバーン】

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11月24日(日)
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