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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File051】敵うぁ♪地獄ぬぉ♪・・・デェ〜ス・トォ・ロォ・・・いや〜ん♪・・・軍艦洋画編Vol.3
この作品も名作中の名作。原作はピュリッツアー賞に輝くハーマン・ウォークの世界的ベストセラー。第24回アカデ○ー賞で主演男優賞など7部門にノミネートされています。物語は、これも老朽した駆逐艦の魚雷兵装と主砲の一部を撤去し、替わりに掃海器具を搭載した掃海駆逐艦ケイン号が舞台。演じるはクレイブン級かサマーズ級、またはシムス級の旧型駆逐艦。後部第4砲塔を撤去し、掃海器具(パラベーン)を装備しています。予備士官養成所を5番の成績で卒業したキース少尉が配属された時の艦長はトム・テューリー演じる、肩苦しくはないが、新米には厳しい歴戦の艦長。着任の挨拶にキース少尉が艦長室を訪れるシーンで、いきなり下着一丁(腹巻?)姿で登場するとこなんざ、邦画「殴り込み艦隊」の駆逐艦黒雲の艦長(田崎潤)を彷彿させる出で立ちです。この艦長とキース少尉は粗利が会わないようで、不和のまま艦長は転任していきます。そして後任の艦長クイーグ中佐(ハンフリー・ボガード)が着任する訳です。この作品も余りに有名なので細かいストーリーは書きませんが、大西洋での激戦で神経をやられている艦長が徐々に正体を顕していく過程が一種巧妙なサスペンス仕立ての物語になっています。右旋回標的切断事件に苺ミルク紛失事件、黄色のペンキ事件、戦闘準備無帽事件、無断上映会事件そして極め付けの台風遭遇事件・・・この台風遭遇事件のエピソードは1944年12月18日にフィリピン沖海域で米海軍第三艦隊が実際に台風に遭遇し3隻の駆逐艦が沈没し、その他多くの艦が被害を受け、死亡行方不明790名の被害を出した事件がモデルになっています(今は無きソノラマ文庫版航空戦史シリーズ55「神風、米艦隊撃滅」参考)暴風雨のシーンは模型を使用した特撮シーンですが、迫力ありよく出来てます。艦を守る為、精神錯乱に陥った艦長から指揮権を奪う副長マリク予備大尉。そして無事暴風雨を切り抜けますが・・・後半は、この事件をきっかけに叛乱罪を巡る軍事法廷シーンがメインになります。果たして叛乱罪は成立するのか・・・争点は艦長の精神が正常かどうか。名優ホセ・ファーラー演じるバーニー法務士官が、圧倒的に不利な裁判で少しずつクイーグ艦長の精神異常を暴き出していきます・・・そして判決。祝杯を挙げるマリク大尉ら一同の下に、しこたま酔ったバーニー法務士官がやって来て言う台詞が胸に突き刺さります・・・「俺たちが娑婆や学校で楽しく過ごしていた頃から、艦長は大西洋で戦っていたんだ・・・」言ってる事はもっともなんですが、実際身近な社会で「こんな上司がいたら鬱だよな〜ッ」なんて想像してしまう映画ではあります。保身の為に肝心なところで裏切る同僚もね。米海軍が良く全面協力したよな〜。戦闘シーンなどは実写シーンばかりだけど、ジャコブ海域侵攻作戦?って場面で乗員が顔に塗ってるクリームって何?若きリー・マービンが髭面の水兵役で出演してます。裁判が終わって新たな艦に配属されたキース少尉を待っていたのは・・・観てのお楽しみです!

さて駆逐艦の登場する以上5作品如何でしたでしょうか?実はもう1作品「駆逐艦ベッドフォード作戦」というリチャード・ウィドマーク、シドニー・ポワチエ、マーチン・バルサム出演の東西冷戦を舞台にしたポリティカル・ミリタリー・サスペンス作品があります。北極海で国籍不明の潜水艦(もうソ連潜というのは見え見え)をしつこく追跡する米国駆逐艦・・・というよりは現在でいうところのフリゲート艦なんですが・・・リチャード・ウィドマーク演じる艦長もちょっと偏執狂的に描かれています。ラストシーンがショッキングで、ちょっと鬱になる作品なんですよ。で、ここで取り上げなかったのは、いずれ東西冷戦・第三次世界大戦モノの特集の時にと思った訳で、決して眠いとか疲れたとか暑いとか言う訳ではありません、よ。お客さん・・・!さていよいよ8月、戦後57年目の熱い夏がやって来ました。やっぱ8月と言えば邦画戦争映画・・・という事で、今後暫くは「あゝ邦画戦争映画は燃えているか」シリーズ(おいおいシリーズ化かよッ?!)をお送りします。お楽しみに【続く】
【一部加筆】2002.08.02 前書き部分に一部加筆

07月31日(水)
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