ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
[455593hit]
■【File129】男たちの硫黄島・・・C海軍衛生下士官は二度ハタ(星条旗)を揚げる?【前編】
さて件の官姓名不詳の謎の通信兵ですが、これが意外と簡単に官姓名が判明してしまいました・・・流石は本場米国の硫黄島戦研究サイトであります。実はローリー軍曹の星条旗掲揚写真は、合衆国海兵隊広報誌「レザーネック・マガジン」の1947年9月号の誌面に初めて掲載されたのですが、その時点では写真のキャプションに彼の通信兵氏の官姓名は既に掲載されていたのです・・・レイモンド・E・ジェイコブズ一等兵・・・しかしローリー軍曹の星条旗掲揚写真が長年注目されない中で、彼の名も歴史の闇の中に埋もれて行った様です。彼はシュリアー中尉指揮下の強行偵察小隊が編成された時点で、戦力増強の為に第二大隊長ジョンソン中佐によって大隊中の他の部隊から抽出された機関銃2班と60mm迫撃砲1班、負傷兵後送用担架兵1組と無線通信兵1名の計15名中の一人で、大隊指揮所と強行偵察小隊との間の通信の確保を命じられていたそうです。後に彼の背負っていた無線機のバッテリーが消費された為、中隊伝令レイニー・ギャグノン一等兵が予備のバッテリーを届けるよう命じられ、またストランク軍曹たちが、山頂まで有線電話回線を敷設するよう命じられたのは、前回の観戦記で記述した通りです。また彼が強行偵察小隊に配属された通信兵だったと言う事は、当時のロサンゼルスタイムズ紙に掲載された記事中に彼の名前が見られる事によっても確認出来るのです。本来ジェイコブズ通信兵はF中隊の所属の兵士で、強行偵察小隊の母体となったE中隊第三小隊の海兵隊員たちとは、殆んど面識が無かった為(前述のリンドバーグ氏を始め第三小隊の生存者たちは通信兵が配属されていた事は記憶していたが、氏名まで記憶していなかった)に、時を経る内に結局官姓名不詳とされてしまった様です。レイモンド・ジェイコブズ氏も健在(2006年時点)で、現在ではローリー軍曹の写真に写っている人物として公式に認定されています。ジェイコブズ通信兵は、強行偵察小隊長シュリアー中尉に随伴するよう命じられていた為にローリー軍曹が他に撮影した星条旗掲揚準備風景の写真でも、その姿を確認する事が出来ます。
今まで謎だった通信兵の官姓名は確認出来たのですが、その事が一層大きな謎を呼ぶ事に・・・後編に【続く・・・】
01月26日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る