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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File097】あゝ邦画戦争映画は燃えているか・・・Shall We タンク!【前編】
さて前述の如く、映画に登場させる為に本物の戦車・・・しかも旧日本軍の・・・を探していた山田洋次監督だったが、目当ての三式戦車が駄目になった為、自衛隊に戦車を借りる事も考えた様だが、これも実現不可能・・・国民を守る為の自衛隊の戦車を、国民を追い掛け回す様な役で登場させる訳にはいかん・・・って事らしい。結局製作スタッフからの提案もあって、撮影用に戦車を作る事となった。戦車のもっとも戦車らしいところは、何と言ってもあのキャタピラ≠ナある。こればっかりは普通の乗用車やトラックを改造しようにもどうにもならない・・・グラスファイバー製の車体を被せるならまだしも・・・一から戦車を作ろうにも、それだけの技術はない(後に「戦国自衛隊」では実現・・・)となると、元々キャタピラを使っている車両を改造するしかない・・・当時映画製作の予算はたんまりあった(当時・・・今から約40年前で2500万円)のでブルドーザーを改造して戦車を作ろうという案がまず上がった様だが、山田洋次監督はストーリーの設定上、村人たちを追い廻すだけのスピーディーな動きを要求したそうだ。ブルドーザーでは馬力は出るが、懸架装置などがないので、とても軽快な動きは出来ない。でブルドーザー改造案は却下・・・本物の戦車以外にキャタピラで軽快に動ける車両・・・東北の豪雪地帯出身のスタッフがいたかどうかはわからないが、思いついたのが南極観測や豪雪地方で活躍していた雪上車≠セった訳。結局あの馬鹿戦車・・・新潟県かどこかの豪雪地帯で使用されていた民間の雪上車を改造して製作された物だという事が判明した・・・ってそんな事も既にみんな知っとるわい・・・お怒りは御尤も。それじゃと言う事で、もっと気合を入れ直して調べてみた・・・。
Bベースとなった雪上車の正体・・・
そんじゃベースになった雪上車って一体どんな車両なのか・・・。ネットを駆使して調べる事数週間!実にありがたい事に、現在日本で本格的に雪上車を製造(改造は除く)している企業は一社しかない。その企業とは大原鉄工所という新潟県長岡市に本社のある企業。以前はフォークリフトで有名な小松製作所・・・現小松フォークリフト冠・・なんかも雪上車を製造していたようだが、今ではこの大原鉄工所一社だけの独占業種となり、日本の南極越冬観測隊や陸上自衛隊寒冷地用の雪上車を一手に手がけているのだそうだ。この大原鉄工所が雪上車の分野に進出したのは昭和26年。新潟県庁幹部から、豪雪に閉ざされる冬期の交通確保の為の雪上車の開発が、当時唯一の地元資本機械製作メーカーであった大原鉄工所に依頼された。時の大原鉄工所の専務であった上村氏は、進駐軍の兵士が使用していたウィーゼル水陸両用車を参考とし、また新潟県からの補助金と旧軍戦車の資料(「戦車工学」)を基礎資料として、全くの零からの雪上車開発に着手した・・・履帯の強度、車体重量(接地圧)など様々な欠陥や問題点を解決し、幾度とない試行錯誤を繰り返し、昭和30年に漸く雪上車の実用化に成功する。現在では全国のスキー場で使用されているゲレンデ整備用の雪上車の約5割も、この大原鉄工所製の車両なのだそうだ。さて問題の馬鹿戦車のベースとなった雪上車だが、どうやらこの大原鉄工所が昭和28年に開発したKC40型という雪上車ではないか・・・という事に辿り着いた。
C大原鉄工所製KC40型雪上車・・・小松製作所製六十式3トン雪上車

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09月30日(火)
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