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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File055】あゝ邦画戦争映画は燃えているか・・・THE LAST KAMIKAZE・・・特攻編
日本映画の伝家の宝刀%チ撮技術を駆使し、戦争の大きな流れを描いた戦争大作が数多く製作されて行く中で、当時の人気俳優総出演により戦争の中における特攻≠ノ主眼を置いて描かれた作品群です。「ゼロファイター大空戦」は前述の「チャンバラ・コンバット航空編」とも言える作品ながら、生還期し難い敵レーダー基地破壊作戦に赴くベテラン搭乗員たちの姿に、初期(比島方面作戦)のベテラン搭乗員が多数含まれた特攻隊員たちの姿が垣間見れます。「花の特攻隊あゝ戦友よ」はロケット特攻爆弾「桜花」部隊である神雷特別攻撃隊が描かれ、一式陸攻役の海上自衛隊P2J対潜哨戒機に吊下された桜花≠フレプリカが登場。「あゝ決戦航空隊」は故鶴田浩二氏演じる大西瀧治郎中将を中心に、比島方面での特攻の開始から、終戦・自決までを描いた一大特攻¥鮪鮪酷I作品。特攻作戦の流れを把握できる作品です。

《第三期特攻映画作品》
「英霊たちの応援歌 最後の早慶戦」1979永島敏行(海軍)
この「英霊たちの応援歌」は、70年代の第二期から90年代の第四期に移行する間の過渡期的(実験的)作品です。人気若手俳優の総出演により、学徒出陣から特攻、終戦までを描き悲劇の時代を精一杯に生き抜いた青春群像%I作品とも言えます。この作品の公開後、80年代前半までには「二百三高地1980」「連合艦隊1981」「ひめゆりの塔1982」「大日本帝国1982」「戦場のメリークリスマス1983」「日本海大海戦 海ゆかば1983」「零戦燃ゆ1984」「ビルマの竪琴1985」等邦画戦争映画の中でも大作と言える作品が多く製作されますが、一部作品を除き、反戦・平和のテーマの描き方が中途半端で、大作の割りには興行が振るわなかった作品が多く、80年代後半に至っては、更に目立って邦画戦争映画作品が少なくなって行きます。

《第四期特攻映画作品》
「北緯15°のデュオ」1991川谷拓三(海軍)
「月光の夏」1993渡辺美佐子(陸軍)
「WINDS OF GOD」1995今井雅之(海軍)
「君を忘れない」1995木村拓哉(海軍)
「人間の翼 最後のキャッチボール」1996東根作寿英(海軍)
90年代に入り、再び特攻≠テーマとした作品が製作されるのですが、どの作品も、過去に製作された特攻映画≠ニは趣き≠大きく異なる作品である事が特筆されます。そのテーマとは「現在を生きる我々日本人にとって戦争とは∞特攻とは♂スだったのか・・・」戦後40年以上を経過し、戦争の記憶も薄れ行く中、今を生きる俳優、製作スタッフが特攻≠ニいう題材に挑んだ作品群です。
@実話を基にして、真実を追究する作品。
「北緯15°のデュオ」は、比島方面における初の神風特別攻撃隊の足跡を辿るドキュメントタッチの作品。「月光の夏」は佐賀県鳥栖市の小学校に残る古いピアノを通じて特攻≠描いた作品。「人間の翼」は、戦中のプロ野球(名古屋軍)チームで活躍した実在の投手の半生を描いた作品。
A舞台劇として20〜30代に大きな支持を得た作品の映画化
「WINDS OF GOD」は俳優今井雅之氏の原作・主演による舞台劇・・・現代に生きる売れない漫才師コンビの精神をタイムスリップ?させ、当時の特攻隊員≠スちの思想・考えを理解しようとした実験的作品。
B人気アイドルを主役として10〜20代の観客動員に成功した作品
「君を忘れない」人気アイドル・若手俳優出演(木村拓哉、唐沢寿明、袴田吉彦、反町隆史等)主演により、戦争末期の特攻隊員の青春群像を新たな解釈で描いた作品。

《第五期特攻映画作品》
「ホタル」2001高倉健(陸軍)
戦後50年近くが経過し、戦争の記憶も益々薄れ行く中で、戦後も戦争の記憶を背負って生きて来た人生を描き戦争の記憶の風化≠問うた作品。「鉄道員」で日本中に感動を与えた高倉健が、朴訥な元特攻隊員の老漁師を、同じく特攻の記憶を引きづる病弱な妻を田中裕子が演じた。「鉄道員」と比較すれば、興行的に成功したとは言い難いが、同時期に公開された洋画・邦画ロードショー作品の中では手堅い実績を挙げた作品だと思えます。

【神風特攻♂f画作品・・・総括】

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08月31日(土)
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