ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File051】敵うぁ♪地獄ぬぉ♪・・・デェ〜ス・トォ・ロォ・・・いや〜ん♪・・・軍艦洋画編Vol.3
主演のノエル・カワードが監督/製作/脚本/音楽の一人五役を手がけた戦中戦意高揚映画で、英国海軍から本物の駆逐艦を借用して撮影されています。登場する駆逐艦はHMSトリン号。艦名にT≠ェ付いているのでT°奄ゥと思ったら、主砲塔と艦体の形状からJ°奄ゥK°奄ナはないかと思うのですが・・・。物語は駆逐艦トリン号が造船所で建造されるところから始まり、公試航行、引渡しを経て乗員が集まり戦闘へと至るのですが、いきなり前半で独輸送船団・護衛の駆逐艦との砲雷撃夜戦・・・魚雷発射シーンがあります。そしてもっと凄いのが独爆撃機との対空戦・・・なんとハインケルJu88爆撃機の実機が登場。壮絶な対艦爆撃を敢行します。捕獲された実機を使用しているのか、それとも実戦で撮影した実写映像を挿入しているのか・・・。後者だったら編集者の腕は神業、前者だったら軍の大奮発って所でしょうか。駆逐艦側も20mmエリコン機銃や、英国の軍艦と言えばコレ40mmポムポム多連装機関砲&コ器というよりは無骨な機械といった風情で激しい対空砲火を打ち上げます(でも実際は戦局の推移とともに40mmボフォース機関砲に換装されてしまいます)で、奮戦空しく2発の直撃弾を受け、哀れトリン号は海底へ・・・で、真の物語はここから始まるのでありました。漂流するトリン号の乗員(艦長、副長、先任衛兵伍長、一般水兵・・・)たちの脳裏に浮かぶ妻、子供、家族、恋人達の姿。ハヤカワ文庫から多数出版されている二次戦を舞台にした海洋冒険小説を読むと、艦を中心に、その艦長以下の乗員たちと共に銃後の社会で待つ彼等の家族や妻、恋人たちとの物語が大きく絡んで行くのですが、この映画もその定説通りの作りになっています。長い航海を終え家族の待つマイホームへと帰るエピソード、海軍軍人の妻たる心構えのエピソード、休暇の最中に結婚する水兵のエピソード、一家団欒のクリスマスのエピソード、空襲で最愛の家族を失うエピソード等が複雑に絡み合い物語が進んでいきます。結局は戦っているのは前線の兵士だけではなく、銃後の市民も同じであるという事が叙情豊に描かれておるのであります。乗員の内、約半数が生き残るのですが、結局は他の艦へと転属して行きます。最後の解散式での艦長の演説の中でトリン号の乗員であった事を誇りに持って、新たな艦で任務に励め≠ニ言った意味の演説が脳裏に残ります。そうそうこの映画、リチャード・アッテンボローのデビュー作だそうで、彼の配置は弾薬庫の装薬搬出係なのですが、戦闘中に恐怖の余り配置を逃げ出す新米水兵を初々しく演じています。あんな風に砲弾が弾薬庫から砲塔まで運ばれるのか・・・っとじっくり観てしまいました。どちらかと言えば「軍旗の下に」よりも「軍艦旗の下に」の方が良いですが・・・。
【封鎖作戦】1952
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07月31日(水)
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