ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File044】オーバーロード作戦#ュ動記念ドラマ「プライベート・ライアンとオマハの砂」
場面は変わり、1944年6月6日。フランスはノルマンディー沖に停泊する無数の連合軍艦船の中の一隻。米海軍の上陸用舟艇母艦PA22ベリンダ号。上陸準備の号令と共に兵士たちが足場の悪い縄梯子を伝って母艦から上陸用舟艇へと乗り移って行く。米軍第2レンジャー大隊C中隊長ミラー大尉が、一段高い位置から部下達が舟艇に乗り移る様子をじっと眺めていた。そこへ、この母艦の揚陸指揮官マクドーガル中尉がやって来た。「いよいよですね、大尉」ミラー大尉の横の手すりに寄りかかり、舟艇群の様子を眺めながらマクドーガル中尉が言った。ミラー大尉は黙って頷く。マクドーガル中尉が、ふとミラー大尉の右手に目をやると、微かに大尉の手が震えているのが見えた。武者震いなのか、恐怖による震えなのか・・・(それともアル中?)「見て下さい。子供らが出発します」マクドーガル中尉は発進する舟艇を指して言った。舟艇への移乗も終わりに近づき、ミラー大尉の移乗の番がやって来た。兵士たちに号令を掛けていたホーバス軍曹が近づき「中隊長、全員移乗完了です」と告げた。ミラー大尉は大きく頷き、マクドーガル中尉の方に向き直ると「中尉、世話になった。ありがとう」と右手を差し出し・・・かけたが、慌てて左手を差し出した。「どうかご無事で・・・」マクドーガル中尉も一瞬たじろぎ左手を差し出し、二人は熱い握手を交わす。暫くの間、じっくりお互いを見詰め合う二人(周囲に薔薇の花≠フ背景が・・・それを羨ましそうに見つめるホーバス軍曹!)「子は親を助ける・・・」艦橋から、二人の様子をじっと見つめていたベリンダ号艦長ホークス大佐が微かに呟いた言葉は、二人には当然聞こえはしなかった・・・(一体、どういう複線だ?)。
ミラー大尉が最後に乗り込んだ舟艇は、荒れる浪に弄ばされながら、海岸目掛けて突き進む。兵士たちの何人かは、激しい船酔いと極度の緊張によって舟艇内にゲロを吐いていた。しかし誰も文句は言わない・・・他人の事など気にはしていられない。皆な一心に目前に迫り来るオマハ・ビーチの海岸を見つめていた。舟艇の踏み板に誰かが書いた落書き「今さら後悔しても遅すぎる」ミラー大尉は何度もその言葉を読み返し、自分自身に言い聞かせると、大きく溜息をついた。「いいか、上陸したら固まるんじゃないぞ、3人寄れば文殊の知恵・・・じゃない、良い射的の的だ・・・」ホーバス軍曹が叫んだ。その時、海岸からドイツ軍の砲撃や機銃掃射が始まった。舟艇の周囲に次々に落下する砲弾が水飛沫を挙げる・・・。その中の一弾が遂にミラー大尉たちが乗った舟艇の隣を走っていた舟艇に命中し、木っ端微塵に吹き飛ばした。ミラー大尉は、頬に掛かった飛沫を軍服の袖で拭いた・・・袖はみるみる赤く染まった。(オオッ、戦争映画してるなぁ〜)

chap03.糾合

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06月03日(月)
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