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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File098】あゝ邦画戦争映画は燃えているか・・・Shall We タンク!【中編】
D事件後の経過
参加した各部隊(下士官兵)は大陸へと転属させられ、後に多くの戦死者を出す。3月4日から特別軍法会議が開かれたが、然したる審議も行われないままに結審。最終的に翌年8月19日までに関係者19名の死刑が執行された。青年将校彼らの行動を支持した皇道派将校たちは不問となったが、陸軍部内における勢力は衰え、逆に東条英機ら統制派が主導権を掌握、1937年(昭和12年)7月7日蘆溝橋事件が勃発し、日本は軍部主導によるファシズムの道を一直線に進んで行く・・・青年将校たちが目指した側近政治の打破、財閥の解体、農地解放が達成されるのは、太平洋戦争敗戦後のGHQ占領下であった・・・と言うのは歴史の皮肉である。

【映画「2/26」】
この映画は、事件の4日間を中心にドキュメントタッチの時系列式にドラマが進んでいく。過去にもこの事件をテーマとして描かれた作品は何本か製作されている・・・「叛乱(佐分利信監督/1954)」「憂国(三島由紀夫監督/1966)」「戒厳令(吉田喜重監督/1973)」「動乱(森谷司郎監督/1980)」・・・が、それらと観比べると、明らかに演出技法は異なっている。大体この手の作品ではこれまでの粗筋%Iな導入部分で簡単に物語の前後関係などを紹介するのだが、この作品にはそれがない・・・よってある程度は事件の背景や事情を知っていなければ、一体どうしてこうなったのか・・・この後どうなるのか、が全然想像出来ず、実に解り難い・・・。しかし松竹、いや当時の日本映画界の総力を結集して製作された大作で、日本を代表する俳優陣が多数出演・・・俗に言うオールスターキャスト≠ニか○大スター総出演≠ニか・・・その顔ぶれの凄い事!って事はハッキリ言える。だが興行成績は、決して芳しくなかった・・・その理由は・・・まずハッキリ言って一般観客が好む色恋ネタ=ラブストーリー≠ェ少ないのだ!それは俳優陣に比べ女優陣の出番が極めて少ない事からも解る・・・映画の終盤で、一部青年将校たちの回想シーン・・・幸福な瞬間・・・が挿入されているが、色恋%Iシーンと言えるのは殆どここだけ。五社英雄監督と言えば、過去の作品では男女の情念を描いた作品が多く定評もあるのだが・・・。そしてもうひとつ・・・この手のオールキャスト&ィではよくあるのだが、主要な登場人物の多さから、一度観たくらいでは誰が誰やら、どのくらい重要な役なのかチョイ役なのかがよく解らない。だが何度も言うがドキュメントタッチで事件の発生から終焉までの流れを描写した手法は秀逸!国家を憂う青年将校たちの純真さ、反面上官の命令に盲目的に従っただけで決起の意義も解らない兵士たちとの心情のギャップ、優柔不断な軍上層部の態度等良く描かれている。未見の方には、是非一見をおすすめする・・・野中大尉(萩原健一)安藤大尉(三浦友和)河野大尉(本木雅弘)それぞれの自決シーンは、邦画戦争映画中で描かれた軍人たちの自決シーンの中でも屈指の演出である。

【オイオイ、戦車はどうしたんだよ・・・】
おっと、そうだった!ちょっと入れ込んで書いてしまった。それでは閑話休題。花とシネマのドリームランドの駐車場横に無造作(将に放置)に置かれた2両の戦車▼・・看板の説明によれば映画「226」撮影の為に製作された戦車(以後称す:226戦車)で撮影後、五社英雄監督の厚意により、夕張市に寄贈された、とある。しかしそれ以上は不明。さてここからが、当観戦記の本領発揮だ・・・勇んで検索サイトを駆使し、この「226」の戦車の正体について調べる事にした・・・のだが、見事に撃退されてしまった。その正体については、サイト上の情報では殆んど不明なのである。戦争映画サイトCROSS OF IRONの「戦車が登場する映画会議室」に書き込まれた情報によれば、どうやらブルドーザーを改造した戦車である事は解った。

【三両製作された226戦車】

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10月31日(金)
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