ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File076】彼らはブーツを履いたまま死んだ・・・多勢に無勢【中編Vol.2a】
カスターの半生について描かれた、この作品にATFが出会ったのは、つい5年程前の事です。ラオール・ウォルシュ監督によって1942年に制作されたこの作品は、太平洋戦争開戦後に公開された為、多聞に国策戦意高揚の意図が見られますし、またカスターの人柄などについての脚色が明らかになされていますが、演じるエロール・フリンの円熟した魅力に溢れる作品でした。共演はオリヴィア・デ・ハビランド。カスターの妻エリザベス(愛称リヴィー)≠好演しております。将にワーナー映画の黄金時代を代表するカップル配役でありました。物語はカスターが陸軍士官学校ウエストポイントに入学(成績/学科=×、実技=◎)してから「リトル・ビッグホーンの戦い」で戦死するまでが描かれています。原題(直訳)は彼らはブーツを履いたまま死んだ≠ニなり、これでは何の事やら・・・ですが、これには奥に隠された意味があって、英語の「die with one's boots on=殉職する・横死する・勇敢に闘って死ぬ」という言葉が基になっています。要するにベッドで安らかに人生の終焉を迎える≠フではなく職場(軍人なので戦場)で職務中(戦闘中)に死ぬ・・・最後まで戦って戦死するという・・・将にLAST STAND≠ネ意味を持っている訳です。この作品中で描かれているカスター像は、信義に忠実に生きながらも、一部の私利私欲に溺れた人々の犠牲になって、見込みの無い戦いで孤軍奮闘する悲劇のヒーロー≠ニして描かれておりカスター<tァンにはうれしい作品なのですが・・・。1960年代頃まではカスターについてのその様な風説が罷り通っており、それに基づく悲劇のヒーロー=カスター将軍≠描いた作品が、なんと30本以上も制作され、将に日本における「忠臣蔵」に匹敵する、アメリカ人にとっての大国民映画≠セった訳で、この「壮烈!第七騎兵隊」は、その最も顕著な代表作と言えます。しかしベトナム戦争の意義やアフリカ系アメリカン、インディアン等少数民族の権利が見直され始める80年代以降になると、カスターに対する大方の評価は残忍な殺戮者≠ニか己の名誉の為に私利私欲に走り、部下を道連れにした無謀な指揮官≠ニ言った様に変ってしまうのでした・・・。そうそう話は変わりますが、この「壮烈!第七騎兵隊」では、あのアンソニー・クインがスー族の酋長クレイジー・ホース役で出演しており若く引き締まった肉体を惜しみなく披露している点も見逃せない作品ではあります・・・うぉっぷ・・・。
【いつからネイティブ・アメリカンになったのか・・・】
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02月25日(火)
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