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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File068】堕戦士たちの魂の最後の城▼・・前編【ネタバレ警報】
この作品に登場する敵役≠ニしてのウィンター所長ですが、観ていてそれほど憎憎しい*には感じられなくなってしまいました。彼は彼なりに堅実に職務を遂行していただけなのです。ただ自分自身の価値観念を囚人たちに押し付け過ぎただけではないか・・・現在の軍組織の中で、特に戦功もないのに大佐≠ニいう階級まで達するのは結構大変なことです。家庭を顧みなかったアーウィン元中将に対して、きっと家庭では良き夫・良き父≠セったのではないでしょうか・・・。演じるガンドルフィーニがいい味だしてました。

この作品では3つのキーワード@城A敬礼B旗が重要な意味を持っています。
【第一のキーワード:現代の戦士たちによる城≠巡る戦い】
この作品の舞台は言わずと知れた軍刑務所≠ナすが、言い換えれば城≠ナす。城≠ニは元来、外敵に対する作られた物ですが、ここでは内敵(囚人)に対する物として描かれています。囚人たちに対し威圧的に聳える塀=城壁∞所長室のある本部管理棟=本丸・天守閣≠サう言えば『キープ(THE KEEP1983)』に登場するキープ(天守閣)も内なる敵への護りでしたな・・・。ウィンター所長が懲罰的に囚人たちに課していた旧刑務所の石壁の再建作業(まったく無意味な作業・・・一種の懲罰)に対しこの壁は自分達の誇りを守る壁だ≠ニ意味を持たせ、囚人たちの団結に成功するアーウィン元中将。やっと完成した石壁をブルドーザーで破壊しようとするウィンター所長の強硬手段によって、一人の囚人(元海兵隊員・・・収監されたアーウィンと最初に親しくなる囚人)が命を落とす・・・彼の死を悼む為、所長の制止命令を振り切り集合する囚人・・・いや兵士たち。元先任曹長の囚人の号令一下、整列、敬礼そして海兵隊賛歌の合唱「モンテズマの宮殿からトリポリの海岸まで、空と海と大地で祖国のために・・・(二番の歌詞が分らずスキャットになるのはちょっと残念・・・)」遂に爆発する囚人たちの怒り・・・あくまでも軍の規則に従がってウィンター所長を解任させる為には、刑務所内で暴動を起こして刑務所内の実権を奪取しなければなりません。アーウィン元中将の下に結束した囚人たち(流石は元兵士・・・組織的行動には慣れています)は、アーウィン元中将立案の作戦に従がって行動を起こします。銃火器などの有効な武器のない為、手に入る資材を武器に改造した戦い・・・古代・中世の戦いが繰り広げられます。
@看守の無力化
策略によって奪った所長室の星条旗を餌に、捜索の為に看守たちを囚人雑居房棟内におびき寄せ、閉じ込める事により守備兵力を無力化します。
A防御陣地・防御兵器・敵拠点の無力化
監視塔(強力ゴム弾を発射するショットガンを持った看守がいる)に対しては、可燃性の液体(ガソリンか)の入ったビニール袋に点火し後、ゴム紐製簡易パチンコ(こ、これがギリシアの火≠ゥ〜ッ)による投射攻撃とガスボンベを利用した簡易ロケット弾発射器(ほんとにボンベが飛んでいく・・・凄げーッ)。強力な放水装置を搭載した装甲車に対しては、食事用トレーを利用した楯を翳したファランクス隊形によって立ち塞がり、同時に別働隊が水源を断つ(バルブを閉めるだけだけど)。看守側の拠点(所長室)には、バスケのゴールの支柱を改造した反動式投石器で、十数キロはあろうかという石(壊された石壁の破片)を叩き込み・・・死んだ元海兵隊員の名前が彫られた石・・・見事直撃!火炎弾を続けて打ち込み、所長の大事なコレクションも木っ端微塵に・・・。
B敵の強力鎮圧兵器の無力化
看守側の最終鎮圧兵器はヒューイヘリコプター。上空で旋回し、搭乗した狙撃手が地上を制圧する。ところが嘗てナム戦では、ベトコンが前近代的な武器で多くの米軍ヘリに損害を与えていた・・・それは竹のパチンコ<香[プを繋いだ竹やりを竹の反動を利用したパチンコで打ち上げ、低空飛行するヘリのローターに絡ませるというもの。この作品ではアンカー≠打ち上げ、ヘリに引っ掛けて引き釣り降ろそうとします。結局は元ヘリパイの囚人が乗り込み奪取するのですが・・・。

勢いの余って書き込み字数がオーバーしてしまいましたので、以下後編に続きます。

11月30日(土)
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