ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File057】オイラも海軍♪ヤクザな海軍♪・・・陽のあたらない小艦艇たち・・・前篇 軍艦洋画編Vol.4
どんなに厚い装甲で被われた主力艦も、水中部分(舷側・艦底)まで完璧な防御は出来ません。それじゃ、そこを狙える兵器を・・・という事で魚の様に自走する水中爆弾、所謂ところの魚形水雷=魚雷≠ェ考案されます(因みに機雷≠ヘ機械水雷≠フ略)初期の魚雷は、上手く水中走行しなかったり、信管が作動しなかったりと災難続きでしたが、序々に改良され、強力な兵器へと成長して行きます。一次戦中に急速潜航・・・違う・・・成長した潜水艦の主兵装となるのはもちろん、水上艦艇にも搭載(種に巡洋艦、駆逐艦、水雷艇)され強力な戦力となります。一発で大型艦をも仕留める事が可能な為、安価で高速・小回りの利く小型艦艇に搭載したら・・・英仏両国の間に挟まれたドーバー海峡やエーゲ海・南太平洋などの多島海は、大型の軍艦の行動が制約されます。ご存知の様に船舶は、その特性上船体が大きくなる程、旋回半径が大きくなります。このため狭い海域での戦闘行動は大きく制限されます。このため小型の艦艇が必然的に投入されるのですが、小型故に防御力(装甲)や攻撃力(火砲)が制限され必然的に残るのが速力・・・スピードです。高速を利して敵艦船に肉薄攻撃をかける・・・でも搭載した小口径砲や機関銃では、敵艦に止めが刺せない。それなら大型艦をも一発で撃沈できる魚雷≠搭載したら・・・魚雷艇≠フ誕生です。この手の小型艦艇に最も注目したのはイタリア海軍(MASボート)・・・狭い地中海やエーゲ海での戦闘にもってこいの兵器だからでした。イギリス海軍(MTB:モータートーピッドボート)ドイツ海軍(Sボート:シュネルボート)もこの種の兵器に感心を持ち多くの魚雷艇を開発します。米海軍は太平洋戦開戦以前は、この種の兵器の有効性を認識していませんでしたが、開戦後急速に整備を進め太平洋戦中盤以降は南太平洋戦線や欧州戦線に大量に投入します(PTボート:パトロールトーピッドボート)日本海軍は、この手の兵器の有効性を認知出来ず、また小型艇用の高出力エンジンが開発出来ず、米軍魚雷艇に苦戦する事になります。それでは前置きが長くなりました・・・戦争映画に登場する魚雷艇の一席です!
【魚雷艇109 1963】
米軍の魚雷艇≠ェ堪能できる映画のひとつ。後に第35代合衆国大統領となり悲劇の最後を遂げるジョン・F・ケネディの若き日を描いた作品です。クリフ・ロバートソンが若きケネディ中尉を好演。魚雷艇の内部構造や戦闘が堪能できます。廃棄寸前の109号艇と寄せ集めの部下を与えられながらも、どこか飄々と乗り越えてしまうケネディ中尉。高速試験中に図に乗って減速に失敗し桟橋に激突したり、前線基地に移動中の対空戦闘、日本軍に追い詰められた海兵隊を片道燃料で救出に行き沫や・・・。そして最大の見せ場は、日本軍駆逐艦による夜間強行輸送東京急行≠フ待ち伏せ作戦中での駆逐艦天霧≠ニの衝突・・・漂流・・・救助。武装強化の為に陸軍(海兵隊?)が放置してた37mm対戦車砲を艇首に搭載したのに活躍の場面がなかったのは残念。大統領在任中に制作されただけに、大統領の品行方正さ、リーダーシップを強調した自伝的作品に仕上がっているのは仕方ないってとこでしょうか。戦場である南太平洋の風景が綺麗です。これだけ主人公を強調した作品なら、一般大衆受けするように戦場でのラブロマンス的エピソードのひとつくらい入れても良いようなものだが、女性(従軍看護婦)とのカラミが全くない(戦争ミュージカル「南太平洋」や「危険な道」「ミッドウェー」等とは偉い違いだ)英雄、色を好む・・・じゃないのか?
【コレヒドール戦記1945】

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09月23日(月)
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