ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
[455610hit]
■【File005】世界最初の戦争映画って何?
戦後暫くは、この傾向を引きずった作品が制作され続けますが、外貨の稼ぎ頭である「007シリーズ」等の人気により戦争映画の制作は下火になったようです。
【旧ユーゴ・その他東欧諸国】
独軍の占領により苦しい戦いを続けた東欧各国ですが、戦後は、これらの苦しい戦いを描いた国策映画的作品を多数制作しています。
旧ユーゴではチトー大統領による独自の共産主義路線の下、対独パルチザン戦争を描いた大作が多数制作されました。政府と国軍の援助により制作された作品は戦争映画として迫力は凄いですが、反面国策カラーが出すぎていてエンターテインメント性に欠けると言えます。
チトー大統領の死後、宗教・民族等の対立の激化により国家が分裂、激しい内戦状態が起こり、現在でも対立は消えていません。この内戦を描いた作品が多く制作されるようになりましたが、多くは日本国内での劇場公開ではなく、ビデオやDVDのソフト発売といった状況です。
その他の東欧諸国ではチェコやポーランドで第二次大戦を描いた名作が制作されていますが、その数は少ないです。
また、単独でロシア軍と戦ったフィンランドでは、祖国防衛を描いた戦争映画が幾つか制作されています。戦闘シーンも丁寧に描かれており、人気が高いです。
【イスラエル・中東】
ナチスによる迫害を生き延びたユダヤ人たちが、英国の政策により中東パレスチナの地に建国したイスラエルでは、建国以来パレスチナ人や周辺イスラム諸国との争いが絶えておらず、これらの戦いを描いた作品がいくつか制作されています。まもなく公開される「キプールの記憶」は前評判も良いようです。
中東諸国の中では、イランが多くの戦争映画を制作しています。多くがイラン・イラク戦争を舞台とした作品ですが、国軍の全面協力で制作された作品が多いだけあって、登場する戦車や戦闘機の数は半端じゃありません。
【中国・東南アジア・韓国】
太平洋戦争後、国民党との激しい内戦に勝利した中国共産党は、国策の一環として対日戦を描いた作品を制作しています。ただ国策映画の定めとして海外マーケット的なアピール度が低いことにより、ほとんど知られた作品がない状況です。香港返還により、娯楽エンターテインメント性の高い香港映画の技術が多数取り入れられたこともあり、今後の作品には期待できそうです。
東南アジアでは、タイ、ベトナム、カンボジア、フィリピンなどの国で幾つかの戦争映画が制作されているようです。主流はインドシナ・ベトナム戦争ですが作品規模が小さいのと、海外マーケットに殆んど流れない為に殆んど知られていない状況です。
韓国では、朝鮮戦争モノやベトナム戦争モノが数多く制作されていましたが、ほとんどが日本国内での上映が無く、また制作技術的にもハリウッド製映画などに押されていた為、日本国内ではレンタルビデオのシリーズで目にする程度でした。
しかし近年「シュリ」の大ヒット後、その実力を海外に示した韓国映画界は、それに続く「JSA」や「ユリョン」といった作品により地盤を固めています。
と、まあザッと各国での戦争映画制作の歴史について述べてみました。うろ覚えの内容も多いので「それは違うぞッ」という点があれば、ご一報下さい【続く】
10月28日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る