ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
[455593hit]

■【File097】あゝ邦画戦争映画は燃えているか・・・Shall We タンク!【前編】
1954年『ゴジラ』撮影時に海上保安庁が撮影協力・・・したのを最初に、3年後の1957年『地球防衛軍』では自衛隊が撮影に協力する。これは60年安保を控えた時期に、国民に対し存在をアピールしようとした表れではないか。以後自衛隊による特撮・戦争映画への協力、更には自衛隊自身を描いた作品製作・・・主に航空自衛隊・・・が盛んに行われる。特に特撮映画は未知の怪獣(敵)から国土を防衛するという、自衛隊の大義名分を顕著に具現化している。しかし撮影に際しては、自衛隊から様々な制限が科せられた。アメリカのSF映画では巨大な正義のヒーローは殆ど登場しない。それはアメリカの軍隊は常に強いから。ところが自衛隊は軍隊ではない・・・今のところそういう事になってる・・・したがって怪獣をバッタバッタとやっつける程、強すぎる訳には行かない・・・邦画特撮映画では、正義のヒーローの活躍でジ・エンドとなる場合が殆ど。しかし自衛隊にも面子がある。護衛艦や戦闘機は簡単に撃沈・撃墜されては困る・・・高い税金をかけて造っている兵器が簡単にやられては遺憾、という訳(でも戦車は特撮では結構直ぐに撃破されるが)。それに戦争映画では殆どの場合、敵戦車役で登場する。慌てふためいて逃げ惑う自衛隊員の姿は絶対NG。こんな様々な撮影制限に苦労しながら、邦画戦争映画や特撮映画は作られていた。ところが安保時代を過ぎ、左派政党の発言力が増してくると、自衛隊存在批判の増長と共に、自衛隊の映画撮影協力が国会で問題視される。貴重な税金の無駄使いではないか・・・こうして70年代後半から80年代にかけ自衛隊の映画協力は激減・・・協力するにしても以前にも増して撮影制限が厳しくなった。しかし近年、左派政党の発言力も弱まり、再び自衛隊の映画製作への協力が増している。私は未見なのだが、特撮ファンの中には『ガメラ2』を自衛隊の広報映画という方もいるし、また『右向け左!』や『守ってあげたい』の様に、自衛隊員自身を描いた全面協力作品も大手を振って製作されている。しかし相変わらず制約は根強く残り、自衛隊員が民間人を殺傷する設定や自衛ではなく侵略をイメージさせる設定は未だに御法度だ。邦画戦争映画に登場した自衛隊戦車≠スちには、こうした時代の流れや数々の御法度が常に付きまとっていたのだった。しかし自由な表現を追い求める映画人たちは、これらの制限に囚われない作品の製作を試みる・・・もっと思い通りにスクリーンの中で戦車を走らせたい・・・と、いう訳で(オイオイ今までは前振りかよ〜)邦画において制限に囚われなかった戦車の登場する作品≠ご紹介しよう!それでは開演《開演ブザー》。いつものように携帯電話の電源はOFFにして。【恒例/この記述には資料的価値はない】

『馬鹿が戦車でやって来る(1964)』

[5]続きを読む

09月30日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る