ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File076】彼らはブーツを履いたまま死んだ・・・多勢に無勢【中編Vol.2a】
私ATFが物心尽き軍オタ人生を歩み始めた頃、最初に覚えた実在の米国軍人の名前と言えば、それはマッカーサー≠ナもパットン≠ナもニミッツ≠ナも、ましてやハルゼー∞スプールアンス▼・・アイゼンハワー≠ナもありませんでした。その人物は金髪の長髪を靡かせ、鹿革のジャケットを粋に着こなし、コルト・シングルアクション・アーミーリボルバー拳銃を構え、西部の荒野を荒馬に跨り駆け巡る軍人・・・その人物の名前は、そうカスター将軍≠ネのでした。当時(1970年頃)テレビで放送されていたアメリカ製の西部劇ドラマの記憶が、今でも鮮明に甦ります。しかし当時の記憶には最終回がどんな結末だったか・・・の記憶がありません。ただ居間の大きな木目調デザインのテレビの画面の中で、颯爽と活躍する西部のヒーローの姿のみが具現化されて、はっきりと残っているのでありました。さて歳月を経ると共に広く浅い軍オタ人生を驀進するATF・・・が再びカスター将軍≠フ名を目にする事になったのは、ドイツ軍やナポレオン、二百三高地・・・等々戦史に関連した事柄や文献に興味を持って行く中で、当然の如く興味を示したアメリカ合衆国の南北戦争▼・・合衆国内での北部工業地帯と南部農業地帯間の対立と西部フロンティアの拡大と共に成立した新州での奴隷制の賛否を巡る対立が表面化した1861年、遂に南部諸州が合衆国より脱退・・・ジェファーソン・デービスを首班とする南部連盟≠結成し首都をリッチモンドに置き、合衆国二分した史上最大の内戦・・・においての事でありました。南北戦争は、19世紀ナポレオンにより確立された近代戦の形態から20世紀第一次大戦の大量殺戮戦へ移行する歴史上中間点に位置しており、その幾多の戦闘の中には戦場のロマン≠ニ殺戮の悲劇≠ェ存在していました。合衆国各地で繰り広げられた数々の戦闘において名を馳せた将星たち・・・リー∞グラント∞スチュアート∞シャーマン∞シェリダン▼・・おいおい全部戦車の名前じゃん・・・と並んで登場したカスター将軍≠フ名前。若き将軍の華やかなる武勲の数々・・・南北戦争≠ノおけるカスター将軍≠ヘ将に栄光≠ニいう名の軌道の上をひた走る蒸気機関車そのものでした。戦う軍人≠ニしての才能を如何なく発揮する若きヒーロー。しかし栄光の日々は長く続かず、やがて訪れる挫折の日々・・・暗く哀しい戦乱の中で人々が望み焦がれた平和≠ェ、戦場でしか生きられない軍人の前に敷かれた栄光の軌道を終着駅へと誘います。そして訪れる悲劇▼・・アメリカ軍では、戦史上著名戦闘が行われた戦場の地名や軍人の名前は、よく軍艦(空母・揚陸艦艇=戦場名・地名・人名/駆逐艦=軍人名・地名)の艦名に命銘されたり、戦車の愛称として名付けられたりする事が多いです・・・。しかし合衆国軍事史上最も有名な軍人の一人であり、かつ最も知られた戦場の地名であるにも関わらず、遂に命銘される事の無かった数少ないケース・・・歴史の暗部に翻弄され戦士たちの黄泉=ヴァルハラ≠ヨ向かって疾走して行く一人の軍人の姿が、そこにありました。「REMEMBER LITTLE BIGHORN」を人々が叫ぶ事は、遂に訪れなかったのです・・・。
【壮烈!第七騎兵隊(THEY DIED WITH THEIR BOOTS ON 1942)】
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02月25日(火)
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