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ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File068】堕戦士たちの魂の最後の城▼・・前編【ネタバレ警報】
実戦経験のない冷酷な大佐が管理する軍刑務所に、無謀な作戦で部下を無駄に戦死させたとして歴戦の陸軍中将(主人公)が収監されて来る。最初は刑務所長の理不尽かつ横暴な囚人たちの管理には無関心・・・無事に刑期を勤め上げ、孫との平穏な生活を夢見ていた主人公だったが、囚人たちの兵士としての魂や誇り≠ワでも奪い取ろうとする刑務所長の専制的な管理方針に反発、バラバラだった囚人たちを組織的にまとめ上げ、軍刑務所の支配権を奪取する作戦を開始する・・・ってあらすじです。最近は邦題ダメじゃん%I作品が多かったのですが、この『ラスト・キャッスル』は及第点!『大脱走』や『第17捕虜収容所』は連合軍捕虜vsドイツ軍警備隊を描いた捕虜脱走ストーリー『ハーツ・ウォー』は連合軍捕虜間で起きた人種差別を根源とした殺人事件を描いたサスペンス・ストーリー・・・と塀の中の戦争映画≠ヘ数あれど、この『ラスト・キャッスル』の様に、アメリカ陸軍管理下の刑務所を舞台に、同じく米軍人(方や看守、方や囚人と立場は正対するが)同士が敵味方として描かれた作品は珍しいです。囚人って言っても収監されているのは陸軍だけでなく海軍や海兵隊、確認は出来ませんでしたが空軍の兵士もいるようです。また人種的にも流石はアメリカ・・・アングロサクソン系、アフリカ系、ラテン系・・・将に人種の坩堝。軍人でありながら、所長の方針によって階級や所属は否定され、みな一律に囚人≠ニいうカテゴリーに押し込められ、日夜無意味な労働(昔の刑務所の石塀を復元する作業とか・・・)を課せられる事によって、軍人としての誇り≠竍名誉∞忠誠心≠失っていく囚人たち・・・。そこに登場するのが、将に軍人の鑑%I人物である歴戦の英雄・・・。そして当然の如く如実に表面化して行く、常に最前線で過ごしていた英雄的軍人≠ニ後方勤務一筋の官僚的軍人≠ニの間の対立構造・・・。

【囚人代表】ユージン・アーウィン/元陸軍中将(ロバート・レッドフォード)
主人公は、ベトナムから湾岸戦争にかけての幾多の戦闘に参加(ベトナムでは苦しい捕虜・拷問生活をおくっている)その指揮・統率能力が高く評価されており、戦術に関する著作まである、将に現代の生きている英雄(軍服の胸の略綬は伊達じゃない)・・・ところがある発展途上国での戦闘で、大統領直々の撤退命令を無視した作戦を実施、それによって8名の部下が死亡した為に軍法会議に掛けられるが、自ら罪状を認めた為、階級、勲功を剥奪、軍刑務所に収監された人物。本人は無事刑期を終え、孫と幸せに暮らす事を夢見ていたが・・・(今まで家庭を顧みず仕事一筋だった為、娘との関係には溝があるのだが・・・)。最初は囚人たちから一歩置かれた存在だったが、次第に囚人の中での中心的人物となって行く・・・。
このアーウィン元中将役は、将にレッドフォードの為にあるような役です。生きながらにして伝説となっている軍人と俳優。共演した俳優たちは、作品中の囚人がアーウィン元中将に接するのと同じ様にレッドフォードに接していました。将に近寄り難い¢カ在だった訳です。しかし反面俺はレッドフォードと共演してるんだ≠ニ毎日興奮の高まりの中、演技していた俳優もいたそうです。

【看守代表】ウィンター/陸軍大佐、軍刑務所長(ジェームズ・ガンドルフィーニ)
軍歴は長いみたいだが実戦経験は無く、軍服の胸の略綬にも実戦によるものは無く後方勤務・演習によるものばかり。そのコンプレックスの為か、有名な戦闘の記念品や名将の遺物、著書などを収拾・コレクションしており、本人もそれを自慢している。歴戦のアーウィンに言わせれば、戦闘の経験の無い者ほど、そんな記念品(サーベルや古銃、弾丸等)を集めたがるのだそうだ・・・実際、アーウィン元中将もウィンター大佐にとっては尊敬の対象であった。しかしアーウィンの登場によって、次第に今まで自分が創り上げた軍刑務所の秩序が脅かされるに至って、アーウィンを敵視、様々な懲罰(ただ石を別の場所に運ばせるだけ・・・のように軍隊の懲罰には無意味な事を長時間やらせる行為が多い)を与え始める。しかし、それが逆にアーウィンをして囚人たちを結束させ、囚人vs看守の対立を助長させていく事となる・・・。

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11月30日(土)
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