ID:47402
ATFの戦争映画観戦記
by ATF
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■【File051】敵うぁ♪地獄ぬぉ♪・・・デェ〜ス・トォ・ロォ・・・いや〜ん♪・・・軍艦洋画編Vol.3
戦争映画史上の名作のひとつとして有名ですが、ATF的には不満があります。殆んどの戦争映画本や戦争映画関連サイトでは、多くの場合この「眼下の敵」は潜水艦映画≠チて分類されているのです・・・(怒)私は声を大≠ノして言いたい・・・この映画は潜水艦vs駆逐艦・・・映画である、と。第二次大戦下の南大西洋を舞台に、連合国側の暗号表を受け取り持ち帰るという重要任務遂行中のフォン・シュトールベルク艦長(クルト・ユルゲンス)のUボートと、単独哨戒任務中のマレル中佐(ロバート・ミッチャム)指揮下の米海軍護衛駆逐艦が繰広げる死闘・・・って、詳しい事はみんな知ってるので、あらすじ等は省略。まあ一般市民を交えず、プロの軍人同士が互いの知恵と戦術の全てを出し合い、敵の先手を読むのは、どこかチェスや将棋のような雰囲気です。Uボート艦長(生粋のプロセイン軍人)の方は息子を戦争で亡くし、対する駆逐艦長(元商船航海士の予備士官)の方も妻を亡くしている、といった心のハンデを抱えながらも、その戦い振りは、どこか騎士道%Iでもあります。艦長以外の両艦の登場人物を見ても、歴戦のUボート乗りである副長ハイニ・シュワッファー(セオドア・バイケル・・・この人「アメリカ上陸作戦」ではソ連潜水艦艦長に昇進)優秀なヨットマンである駆逐艦副長ウェア大尉、その耳からはどんな優秀な艦長の指揮するUボートも逃げられない、まさしくプロのソナー手エリス、田舎の開業医から応召の軍医など多彩な登場人物が個性豊かに描かれています。さて登場する駆逐艦ですが、実は原作(D・A・レイナー著)では英国海軍西部近接海域(ウエスタン・アプローチ)管区所属の駆逐艦ヘカテ号となっています。創元推理文庫版によれば、ヘカテ号は対潜作戦用に備砲4.7インチ砲を四基から二基に減らし、更に魚雷発射管を撤去、爆雷搭載数を増やし燃料タンクも増設している戦前型のH級駆逐艦という設定です(文庫の表紙絵はどう見ても大戦後期型のU級っぽいぞ)因みにUボート(U121)の方はポピュラーなZC型ではなく、一回り大きな\C型となっています。映画の方は、Uボートはともかく、駆逐艦の方は流石にハリウッド映画のため米国海軍の護衛駆逐艦バックレイ級(対潜戦闘能力と航続性を強化した量産型駆逐艦・・・類似の艦型にカノン級、エドソル級がある)かと思ったのですが、魚雷を搭載していないので、ディーゼル電気推進式(ディーゼルエンジンで発電し、その電気でモーターを動かす)エヴァーツ級・・・精強な駆逐艦というよりは図太い護衛艦っていった感じが良いです・・・かも知れません。英国人が「ラット・パトロール」を観て「アメリカ軍は北アフリカ戦の最後にちょこっとやって来ただけで、あんなに活躍していない・・・」と怒ったそうですが、この「眼下の敵」を観ても同じ事を言いそうですな。なんたってラストシーンはカッコ良過ぎ・・・死力を尽して戦った男同士ほど真の親友である・・・あのタバコのシーンは戦争映画でも五指に入るのでは。そうそう映画をまだ観ていない方に忠告。先に映画を観てから原作は読まないで下さい・・・映画と原作のラストシーンのギャップに唖然としますので・・・。
【底抜け船を見棄てるな】1959
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07月31日(水)
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