ID:43818
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by kai
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■『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』
『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』@kino cinéma 新宿 シアター2
ザ・ザ・コルダやっと観に行けた〜 父と娘のロードムービー、てかあんなラストー! ベニーが! 有難うアンダーソン監督!
[image or embed]— kai (@flower-lens.bsky.social) Oct 5, 2025 at 0:49
まあ移動の殆どは飛行機なのだが。でも、父と娘が互いを家族と認める迄の“試用期間”を“移動”とともに見せているとすれば、やっぱりこれはロードムービー。
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』以来、ウェス・アンダーソン×ベニシオ・デル・トロのタッグです。てか主役〜! 当て書き(なんですって)〜! 『フレンチ〜』でのベニーは殆ど話さない役で、話しても唸り声とかで、衣装も囚人服で終始していたけど今回は! 衣裳替えがたっくさん! しかも全てがスタイリッシュ! 貴重だわ…殺し屋とか工作員とか麻薬王とか麻薬中毒者とかNGO職員とか、いいおべべ着てる作品あんまないから(特殊工作員はコスチューム萌えがあるかもしれんが)……ちなみに天界のシーンは『フレンチ〜』使いまわしなのかと思った(笑)。あのヒゲといい。
あっでもハムレットやったな、『ウルフマン』の劇中劇で(急に思い出した)。貴重なコスチュームプレイ…とはいえこれも結局狼男になるからな……。あとは『スナッチ』が強盗時と普段時両方とも素敵なルックだったけど、今回程ヴァラエティに富んだルックのベニーが観られたのは初めてのことだと思います。
ちなみにベニー曰く「『どのように役作りをしますか?』と聞かれた時、『ウェスの脚本とほんの少しの自分らしさ、そしてミレーナ(・カノネロ)の衣装』と答えました。ミレーナとウェスは、帽子から靴ひも、そしてその間にあるすべてにおいて息ピッタリで、ベストな衣装を作り出してくれるんです」(パンフレットより)。という訳でミレーナにも有難う! こういうこというベニーも素敵!
さて今作、1950年代のお話。事業のためならどんな汚いことでもやってきた大富豪。多くの恨みを買っていて、敵はものすご〜く多く、これ迄に6度暗殺未遂に遭っている。てか6度暗殺されかけて死んでないのがすごい。飛行機落ちても死なない。撃たれても死なない。不死身か。でも本人は自分のことを不死身じゃないと知っているので(そこんとこ身の程を知っているというか謙虚よね)後継者を選び、最後の大仕事“フェニキア計画”に着手する。
後継者に選ばれたのは修道女見習いの娘。この男は自分の母親を殺したのだろうか? それを知るため、そして善行となるかもしれないフェニキア計画の成功を祈るため、これ迄全くといっていい程交流のなかった父との旅に同行する。
アンダーソン演出ならではの、最低限の表情で、カメラ目線で、マシーンのように早口で語る演者たち。読めない心のうち。それでも少しずつ、父親が娘のことをよく思っていること、一般的な意味でそれを伝える術を持たないこと、娘もそんな父親のことをもっと知りたいと思っていることが見えてくる。とても残酷で、とても美しい父子のやりとり。何度も死にかける父親は何度も天界の入り口に立つ。しかしその都度入場を阻まれる。それは生前(いやまだ生きてるけどな)犯した罪の多さに「おま、あんだけのことやっといて天界に入れると思ってんのか」という拒絶ではなく、「こっちに来る前にまだやることがあるだろ?」と促されているかのよう。何しろ神は“赦す”ものだからだ。
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10月04日(土)
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