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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ワン・バトル・アフター・アナザー』
『ワン・バトル・アフター・アナザー』@新宿バルト9 シアター4
あ、アメ〜リカ〜(The KLF)THEアメリカといえばPTA、PTAといえばTHEアメリカ〜! めちゃめちゃ面白くてめちゃめちゃ怖い! てかこれの原案ピンチョンの『ヴァインランド』だったの!? いやマジおっかねえ 『ワン・バトル・アフター・アナザー』
[image or embed]— kai (@flower-lens.bsky.social) Oct 9, 2025 at 0:17
「今何時?」の合言葉はThe KLFにいわせれば「What Time Is Love?」だな!
『ヴァインランド』は池澤夏樹編集の河出書房新社版(2009年)で読んでいた。1998年と2011年に新潮社版が出ている(全て訳は佐藤良明)。いわれてみればこういう話だった…そう、いわれてみなければわからない、ヒッピー、ニンジャ、ハローキティ……「アーッこんな話だった!」「エーッこんな話だった?」の塩梅が見事、見事過ぎた。予備知識も何も入れずに観て、キエー面白かった! とエンドロールをぼんやり見ていたら「inspired by the novel "Vineland" by Thomas Pynchon」って出てきて再びキエーとなったのだった。ポストクレジットにも愛がある、あれでまた余韻がグンと深まった。THEアメリカでTHE映画。
久々ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)。『インヒアレント・ヴァイス』以来……って10年ぶりだわ、そんなに経つか! 大好きな監督なのだが、ランタイム的にも内容的にも、いつも観終わるとふらふらになるので体力(+情緒)が要り……とちょっと疎遠になっていた。今回もノーマークだったのだが、予告編でベニシオ・デル・トロが出ているのを知って慌てて観ることに。で、やっぱりふらふらになって映画館を出た。思えば『インヒアレント〜』もピンチョン原作だった。そんでベニーも出てた。
ストーリーはシンプル。登場人物の心理は複雑。1シーン毎の情報量がめちゃ多い。長尺なのに体感時間が短い。父子間の確執。生きてる人間がいちばん怖い。クラシックでホラー。と、いうのがPTAスタンダードだと思っているのだが、今回はそのスタンダードを維持しつつこれ程エンタメに振ったのかという驚きも。原案があるからか、PTAにしてはやさしみもあった…あんなだけど……。
いやーしかし、このひとが? こんな? エンタメに振った映画を? 10年の間に何があった? それでも今作が突出してエンタメなのか? あれだ、以前どなたかがいっていた「リュ・スンワンは映画が上手!」だ。「PTAは映画が上手!」。話の転がし方といい、緩急の付け方といい、リズム感のよさといい。木から落ちるとこととか、果てしなく続くように見える〰〰〰(この書体機種依存かな、出るかな。出てくれ)な道路のカーチェイスとか。おらワクワクしっぱなしだぞ。で、緊張のあとのカタルシスもちゃんと用意されている。そして、なあ、あんな爽やかな終わり方…おばちゃん泣いちゃうわ……。いつもある父子間の確執、というのが父と息子、ではなく父(母)と娘、というところは原案ある故だろうか。そして父は娘から学ぼうとしている。they/themにしても、スマホのフラッシュにしても、そして“革命”にしても。娘は父とは違う、新世代の闘い方を実践している。そこに未来を見る。
といいつつ、3人のサクリファイスが用意されているところは流石の厳しさ。泣いちゃうとかいってられん。ロックジョーは文字通り生贄にされたが、センセイとデアンドラのその後が祝福に満ちたものであることを祈る。祈ることしか出来ないこのもどかしさ。
レオナルド・ディカプリオの瞳の美しさをしっかり捉えているところに愛があった。序盤のスーパーマーケットでのショットとかすごかったもんね。見惚れた。ディカプリオに限らず、人物の顔面アップショットが多かったなあ。画面が強い! 力のあるツラ構えばっかり! そしてツラ構えといえば背筋も凍るショーン・ペン! いや〜キモかった(素晴らしかった)……もはや哀れを誘う。あの血管が浮き上がる筋肉はドープなのかCGなのか気になるところ。
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10月08日(水)
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