ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『だれか、来る』
『だれか、来る』@SCOOL
SCOOL『だれか、くる』 購入した家に引っ越してきた幸せな(筈の)ふたりと、その家を売却した人物。ゆっくり平易に話される言葉と極力固定された表情がホラーの様相を見せてくる。面白いやら怖いやらで思いの外体感時間は短かった
[image or embed]— kai (@flower-lens.bsky.social) Sep 27, 2025 at 1:12
というのも、「上演時間は2時間半休憩なし」「非常に眩しい光や大きな音の出る演出があります」と事前にお知らせがあり、かなり身構えて行ったのだ。2時間半という長さはさほど問題ないのですが、会場的に椅子がヤバいんじゃないかと…清澄白河SNACと同じ感じだろうからと思い……。案の定入場してみればパイプ椅子は1列分しかなく、あとは折りたたみ式の小さな簡易椅子とスツール、残りは桟敷と立ち見。背もたれのある、長時間座りっぱなしでもキツくなさそうなパイプ椅子を選んだものの、終わってみれば腰がガッチガチ。暗転時、皆一斉に姿勢を変えるのでギシギシギシと音が響き笑ってしまったが、そりゃそうなる。身体的には結構辛い。案外立ち見がいちばんリラックスして観られたんじゃなかろうか。
とはいうものの、あまりに緊張感のあるシーンが続くので(上演前にも「非常に静かなお芝居です」とのことわりがあった)いやいやいやこれどうなる? 怖いよー! と固まって観ていたら結構あっという間に終わった。すごく面白かった、面白かったといっていいのか? という内容でもあるが。
という訳でお初のSCOOL。SNACクローズ後、しばしの放浪ののち三鷹にオープンしたHEADZと吾妻橋ダンスクロッシング運営のスペース。で! 今回の目玉は!! HEADZ主催である佐々木敦の初演出作品であること!!! 個人的にHEADZといえば音楽という印象が長く、佐々木さんが演劇批評を始めたときには驚いたものだった。その後演劇作品のプロデュースも手掛けるようになり、今回遂に演出家デビュー。出演者はSNAC時代から関わりの多かった飴屋法水、伊東沙保、矢野昌幸。
2023年にノーベル文学賞を受賞したノルウェーの劇作家、ヨン・フォッセの戯曲。調べてみると日本初演は2019年、演出:太田省吾、出演:品川徹、荻野目慶子、綱島郷太郎。その後何度か上演されている。今回の上演を観たあとだと、ああ〜品川さんと荻野目さん、めっちゃハマりそう! などと思う。というのも、敢えて戯曲を読まずに観たので、不思議に思う場面が沢山あったのだ。見たままを、聴いたままを信じていいのか?
登場した飴屋さんは燕尾服のような黒いジャケットと白いシャツ、よく似合ってる。同じく白いシャツに黒いジャンパースカート(ノルウェーの民族衣装、ブーナッドっぽい)姿の伊東さんもとても素敵。ふたりは「やっとふたりきりになれた」「家を買った」「誰とも会いたくない」といったことを交互に話す。この字面だと、結婚式を挙げたふたりが新居に引っ越してきたんだな、幸せなんだな、と思うだろう。しかしどうにも違和感がある、ありまくる。
台詞はひとことひとことゆっくりで、感情はフラット。表情も変わらない。話される言葉とは裏腹に、そこに立っているのは目を見開き前を向いたまま、感情を表さずに話す人物。
やがてふたりは「だれか、来る」と怯え始める。程なくふたりのもとに、この家を売却した人物=彼(便宜上そう書く)が訪ねてくる。夫(便宜上以下同)は会おうとしない。招き入れた妻(便宜上以下同)に、彼は自分が短期間この家に住んでいたこと、その後この家には祖母がひとりで住み、ここで死んだことなどを話す。家を売ったことで「金がある」とも。その後も彼は何度も家を訪れ、ふたりは居留守を使うなどしてやり過ごすが、それも限界となり妻は再び彼を家に招き入れる。夫は妻と彼の仲を疑い始める。
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09月26日(金)
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