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by kai
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■『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』先行上映+レオス・カラックスQ&A
『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』先行上映+レオス・カラックスQ&A@ユーロスペース シアター2

『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』先行上映+Q&A、カラックスの希望で本日は日本語の質問に英語で回答。デリケートな質問にも誠実に答えてくれた。「クリアな目を持ち、クリアな耳を持ち、クリアなヴィジョンを持つこと。今の世界では困難なことだが、努力し続けたい」という言葉が印象的だった

[image or embed]— kai (@flower-lens.bsky.social) Mar 25, 2025 at 0:48
字数制限により簡潔に書いたけど、勿論日英の通訳者がいらっしゃいました。横浜フランス映画祭や日仏会館で仏語いっぱい話したので(臆測)英語で話したかったのかな。

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行けるのがもうこの日しかなかったのでチケットとれてよかった……。隣席になったお嬢さんがフレンドリーな方で開演前いろいろ話してたんだけど、即完したカラックス×黒沢清のトークショウ(後述)は「関係者が殆どだったみたいですよ! 一般にどれだけ出たんだか!」と憤っておられた。成程ね〜、1分もかからず完売したみたいだもんね〜。それにしても楽しいお嬢さんだった。自然と「また〜」と別れた。こういう時間って好き。

という訳で『アネット』から3年、再び桜の季節にカラックスがやってきた。そういえば桜の季節に来日したのは前回が初めてだったとか。桜は見られたかな、ちょっと早かったかな? 堀越謙三さんとの縁もあり、ユーロスペースはカラックス来日時のベースにもなっていますね。

『IT’S NOT ME』はポンピドゥー・センターからの「10分くらいの自画像的なショートフィルムを」という依頼を受けつくられたもの。その後いろいろあって42分の作品に(笑)。中編なので日本公開はあるだろうか、あっても映画祭で数回かも……と思っていたので、公開が決まってうれしかった。

リアルとフィクション、自作も含む膨大な数の引用。映画への愛と、戦争の世紀でもある20世紀への怒り。ときに自身へも向けられる、男性への怒り。娘と動物たち。闇、疾走、回転、デヴィッド・ボウイ、カイリー・ミノーグ、スパークス! 音楽! 音楽! 音楽! その繰り返しが映画になる。映像と音声のコラージュは、ゴダールへのオマージュ。「たった一度の主観」はジュリエット・ビノシュ。ギョーム・ドパルデュー、ジャン=イヴ・エスコフィエ、カテリーナ・ゴルベワへの悼み。瞬きについて。そして最後、サプライズのポストクレジット。20世紀から21世紀へ、次世代へ託したい希望がそこにはあった。涙が流れる。

映画館の闇のなか、観客のひとりひとりは孤独に作品と向き合い、ときには死者と、ときには架空の、或いは実在する人物と対話する。スクリーンは闇へと戻り、拍手が起こった。

上映後のQ&Aを終え外に出ると、出待ちのひとたちが揃って高揚した顔で向かいの駐車場を見つめている。カラックスがタバコ休憩中だったのでした(笑)。下のカフェにスペースをつくってサイン会が行われたようです。すごい行列になってたけど全員に対応したんだろうか。

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Q&Aの内容はこちら。

・レオス・カラックス、最新作「イッツ・ノット・ミー」を語る「私自身がものすごくカオス。この映画はカオスがそのまま生きて描かれている」┃デイリースポーツ online

意外にも(失礼)デイリースポーツの記事がめちゃ詳しい! いちばん詳しいかも! この記事を参照しつつ、各質問に対する反応、興味深かったことなどをメモ。

・なかなかないといっていいくらい、良質な質疑応答だった。自分語りをするでもなく、長々と感想を喋るでもなく、どのひともカラックスとその作品に敬意を持ち、そのうえで思慮深くかつ鋭い質問を投げかけていた。豊かな時間だった

・司会は安心と信頼の矢田部吉彦さん。質問を募るとじゃんじゃん手が挙がる。男性からの質問がずっと続き、「日本に女性はいないんですか?」とカラックス(苦笑)。矢田部さんが気を遣って「女性の方いらっしゃいませんか?」と客席へ声を掛け、最後に女性からの質問がありました。結局女性からの質問はそのひとりだけだった


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03月24日(月)
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