ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『破墓/パミョ』
『破墓/パミョ』@新宿ピカデリー シアター6
『破墓/パミョ』す、すげえバトルものだった…あれがああなってああ転がるなんてなあ……カーブかフォークかストレートかとキャッチャーミットを構えていたらバスケットボールが飛んできた©︎原田宗典くらいの衝撃だった…面白かった…… pic.twitter.com/FIPc85U5tj— kai ☁️ (@flower_lens) October 19, 2024
何をいってもネタバレになりそうでいえないよおおってかリピートしたいわ、車のナンバーはチェックしたわ(教えてくれた方有難う!)。ムビチケ特典はファリム姐でしたカッケー pic.twitter.com/jHAHUAYI93— kai ☁️ (@flower_lens) October 19, 2024
(デジタルムビチケの特典が、鑑賞後ランダムに送られてくるキャラクター画像だったのでした)
改葬のために集まった風水師(地官)、葬儀師、巫堂(ムーダン)とその弟子(法師)が、墓から出てきた“ヤバいもの”と闘うというふんわりとした設定しか知らずに観たらまーこれが面白い。そして単純に面白いといいっぱなしにも出来ない。非常に読み解きが必要で余韻が深い。鑑賞者の心根も問われる作品でした。難しいってことではないよ! 祈祷のフェスっぷりがすごいよ! 以下ネタバレあります。
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原題『파묘(破墓)』、英題『Exhuma』。2024年、チャン・ジェヒョン監督作品。本国で今年2月に公開され、動員1200万人の大ヒットを飛ばし、その後133か国で公開されているとのことだが、韓国と日本にしか伝わらないものがあるのは間違いない(実際どうなんだろう、他の国ではヒットしたんだろうか?)。第一声が日本語、日本人に間違われる韓国人、というシーンから始まるこの映画は、日本と韓国以外の国でどのような印象を持つのだろう? この作品の面白さが「わかる」日本人でよかったと思うと同時に、この作品から発せられるメッセージが「わかる」日本人であることに罪悪感と使命感を抱く。岩井志麻子の言葉を思い出す、「良くも悪くも日本と韓国は縁が深い」。“ヤバいもの”とは、日本と韓国の歴史そのものでもあったのだ。
重いテーマだが、監督はそれをある意味爽やかに、スポーティーにすら描いている。今のようにヘイトが表出していない時代(それは逆に、無邪気な差別と排斥があったということでもあるのだが)、スポーツの世界で「日本と韓国は永遠のライバル」といわれていた時代を知っている者からすれば、その優しさに涙が出てしまう。傷は消えない。でも未来のことを考えよう。次世代のために、争いや恨みつらみは自分たちの代で終わりにしよう。そんなあたたかさすら感じた。これに応えなければ、と思わずにはいられない。
後述インタヴューでチェ・ミンシクが話している通り、改葬のため集まる4人はアベンジャーズの趣(本国公開時には「墓ベンジャーズ」と呼ばれてたとか)。いいギャラ出るぜと集まった彼らは、謎を追ううち自国に巨大な影響を及ぼした存在と対峙することになる。依頼者を、仲間を、自分たちの国土を守るため、身を呈して闘う。互いの職務に敬意と信頼をもって行動する。
このプロフェッショナルズがとにかく格好いい。風水師と葬儀師のおじさんチーム、巫堂と法師のMZ世代チームというバディ×2の関係性にもグッとくるし、それぞれの所作に説得力がある。巫堂がコンバースを履いて祈禱したり、法師がインカムマイクを装着していたりと、伝統と機能性のハイブリッドは進化を感じさせる。風水師が森を歩き土地を“見る”ふるまい、死者を送り出す葬儀師のふるまい等、各々の仕事との向き合い方をさりげないシーンで見せるカットもいい。塩の撒き方すら美しい。
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10月19日(土)
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