ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『オオカミが現れた:イ・ランの東京2夜ライブ』
『オオカミが現れた:イ・ランの東京2夜ライブ』@草月ホール
『オオカミが現れた:イ・ランの東京2夜ライブ』@草月ホール 痛みをシェアしてくれて有難う pic.twitter.com/e81iW8CYTR— kai ☁️ (@flower_lens) September 29, 2024
入口に炭化したかのような黒い造花。悼みの花はステージにも飾られ、イ・ランの衣装にもあしらわれていた。ばっくり背中の空いたノースリーヴのカットソー(要は腹がけなんだけど、めちゃめちゃスタイリッシュ)とパンツは、枯葉にも花弁にも見える黒いチップに覆われている。ミノムシのようにも見える。
後述のSweet Dreams Pressのツイートによると、この花のモチーフは黒いパンジーだったとのこと。環境に配慮した衣裳でもあるという。Sweet Dreamsさんはいつもこうした制作の裏側についても教えてくれて、コンサートをつくりあげた全員への敬意が感じられて大好きです。長年メルマガ愛読してます! ジョアンナ・ニューサムまた呼んでください(教会でのライヴはオールタイムベストのライヴです)!
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ようやく観られたイ・ランのライヴ。五人のオンニ・クワイヤを含む十人編成のバンドで、最新作『オオカミが現れた』からのナンバーを中心に。オンニ・クワイヤのメンバーは皆サラリーマン。金曜日と月曜日の休暇をとって来た、とのこと。第1夜は前日のWWW X公演で、この日は第2夜。草月ホールの落ち着いた空間がとてもよく似合っていた。耳を澄ます。歌に聴き入る。
ステージ後方にスクリーンが設置されており、歌詞の日本語訳が映し出される。MCは全て日本語。最前列の席にはイ・ランの友人たち。ときどきイ・ランが「〜の日本語、なんていうんだっけ?」と訊き、友人たちがそれに答える。「開演前に何度もテストしたんだけど、歌詞が見えない席が出てしまって。見えなかったひとは終わったあと来てください、ジュンイチ(イ・ランの猫。ファンの間では有名)のステッカー3枚セットをあげます」。笑いつつもその気遣いに居住まいを正す。彼女は「歌詞を伝える」「自分のいいたいことを伝える」ことに細心の注意を払っているのだ。
歌とともに彼女の痛みはシェアされる。ここ数年彼女に起こったことはあまりにも痛みに満ちている。悲しみに押し潰されてしまう前に、こうして歌を聴かせてくれたことに感謝したい。
それにしても惹きつけられる声。「最新作では声を張り上げる曲をたくさん書いたので喉が痛い」といっていたが、大きな声にもささやき声にも芯があり、よく通る。PAはあるが、ギリギリ生音と感じられる音響も心地よかった。長年の相棒であるイ・ヘジのチェロを筆頭に、イ・ランのアコースティックギター、イ・デボンのエレキベースとウクレレ、カン・ジョンホのドラム、ナナのキーボードとカリンバも、とても繊細な響きを聴かせる。ひっそりとしたサウンドチェックも印象的。PAを通す前の、コロコロとしたキーボードの音がずっと耳に残っている。
丁寧なMCと、くだけたMC。ツカミはジュンイチの名前の由来。『ピューと吹く!ジャガー』のジャガージュン市からとったという話。静まり返る観客に向かって「日本人はこういうときとても静かになる、怖い」という話。こ、怖くないよ! 集中の妨げになったらいけないかなと思って! 伝われ〜と沢山拍手をしました。最前列に空席のあることが落ちつかないらしく、「○○○○(実名)来れなかった? 仕事? そう、仕事か……」といったあと「最前列にはともだちを呼んでいる」と説明する。「折坂(悠太)来てる? butajiもいる?」と客席に呼びかけ、後方席にいた折坂くんとbutajiが「オンニ、いるよー」と手を振ると、「なんでそんな後ろにいるの? 来るならいってくれれば席を用意したのに。空いてるし、ここ(最前列)に来なよ」という(来なかった・笑)。客席にはマヒトゥ・ザ・ピーポーの姿も。
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09月29日(日)
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