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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■BÉJART BALLET LAUSANNE JAPAN TOUR 2024『バレエ・フォー・ライフ ─司祭館はいまだその魅力を失わず、庭の輝きも以前のまま』
BÉJART BALLET LAUSANNE JAPAN TOUR 2024 Aプロ『バレエ・フォー・ライフ ─司祭館はいまだその魅力を失わず、庭の輝きも以前のまま』@東京文化会館 大ホール
ベジャール・バレエ・ローザンヌ Aプロ『バレエ・フォー・ライフ』
ジュリアンが「楽しみにしていて」といっていたフィナーレの演出がもう…こうなるか、とこれしかないか、で頭が痛くなる程泣いてしまった…… pic.twitter.com/DEvKM62HQA— kai ☁️ (@flower_lens) September 22, 2024
隣のおじちゃんは「ミリオネア・ワルツ」辺りからもう泣いており、ジョルジュ・ドンの「ブレイク・フリー」では肩を震わせて泣いていた。わかる。私も嗚咽が漏れそうなの堪えてたから頭痛くなったんだよ……。
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振付・演出:モーリス・ベジャール
音楽:クィーン / W.A.モーツァルト
衣裳:ジャンニ・ヴェルサーチ
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3年ぶりの来日公演、前回(2021年)に引き続きの『バレエ・フォー・ライフ』。当初は違う演目(ベジャール旧作の復刻上演『わが夢の都ウィーン』)が発表されており、『バレエ〜』は地方公演のみの筈だった。3年の間に、バレエ団にはいろんなことがあった(詳しくはこちら)。小林十市が戻り、オスカー・シャコンが復帰した。ジル・ロマンが去り、ジュリアン・ファヴローが芸術監督に就任した。今回の公演は、バレエ団の24/25シーズンの幕開けを飾る。
9月入り、オンライン記者会見で、ジュリアンが日本で踊るのは最後になると発表された。芸術監督との兼任は難しいだろう、最後の日本公演になるのではないか、という予感はあったが、やはり寂しい。バレエ作品の配役は、ダンサーのコンディションを考慮し公演当日の数週間に(数日前のことも)発表されることが多い。『ボレロ』のメロディーのように主役級のスケジュールはチケット発売前に出ることもあるが(今回は出た)、怪我などがあれば当然変更される。ダンサーファーストという方針は歓迎したい。それだけ身体への負担が大きいのだ。バレエという舞踊のハードさがわかる。
という訳で、残念乍らチケットをとった回にジュリアンは出演しなかった。あの花束のようなかわいらしさのジュリアンのフレディを、もう観ることが出来ない。
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2006年、2021年に続き、個人的には3度目の『バレエ・フォー・ライフ』。1度目と2度目、フィナーレの「ショウ・マスト・ゴー・オン」で、ダンサーたちを迎える役はジルだった。もともとはベジャールが務めていた役だが、初めて観た2006年の公演では、ベジャールの渡航にドクターストップがかかったのだ。フィナーレはジルに任された。日本公演では初めてのことで、ほぼサプライズだったと記憶している(当時はSNSもなく、情報伝達が今程早くなかった)。ベジャール亡きあとバレエ団の芸術監督にジルが就任し、以降ずっとあの役はジルだった。
今回『バレエ〜』が上演されると知らされたとき、真っ先に浮かんだのは「フィナーレのあの役は誰がやる?」だった。ジュリアンが務めるのが順当だろうが、今作にジュリアンはフレディ役で出演している。両方やるのは無理ではないか……。その後インタヴューでジュリアンが「僕は(あの役を)やりません。素敵なアイディアがあるんです。楽しみにしていて」と話しているのを読んでいた。となると、思いつくことは限られる。何らかの形でベジャールを迎える。あるいはサプライズでジルを……いや、これはないか。
果たしてそこにはベジャールがいた。蜷川幸雄が亡くなった直後の、『尺には尺を』のカーテンコールを思い出す。このときは、“ショウ・マスト・ゴー・オンをこんな形で観たくはなかった”と思ったものだ。しかし今回は違う。ある意味これは、元の状態に戻ったともいえる。
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09月22日(日)
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