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by kai
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■『A Number ─数』『Whar If If Only ─もしも もしせめて』
Bunkamura Production 2024 / DISCOVER WORLD THEATRE vol.14『A Number ─数』『Whar If If Only ─もしも もしせめて』@世田谷パブリックシアター
『A Number —数』『Whar If If Only —もしも もしせめて』のダブルビル。代名詞多用で固有名詞なし、膨大な台詞で演者の力量が丸見えになるスリリングな舞台。観る側も集中力いりましたが面白かった。美術も素晴らしく、先日ケラさんが仰ってた「決して最前列は最良席ではない」(全景で観たい)作品 pic.twitter.com/A5xf9fY1Yz— kai ☁️ (@flower_lens) September 21, 2024
パンフレット表紙に「COCOON」の文字。あ、そうか、これ文化村プロデュースかと当日知る。シアターコクーンの再開待ち遠しいですねえ。
キャリル・チャーチルの戯曲をジョナサン・マンビィ演出で。3人芝居『Whar If If Only ─もしも もしせめて』25分、休憩20分、2人芝居『A Number ─数』50分という上演順。舞台美術の内装をガラリと替えるので、その転換に時間がかかったようでした。
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・『Whar If If Only ─もしも もしせめて』
だいじなひとを失くし、ふたりが暮らしたであろう部屋で打ちひしがれる青年のもとに、さまざまな“未来”が訪ねてくる。そのひとの思いを借りたものと、やがて起こること。もしああだったら、もしせめてこうだったら。何かが起こるようでまだ何も起こらない。青年の長いモノローグと、未来たちとの短いダイアローグ。ものは青年に起こってしまったことは変えられないととき、ことはもうすぐ起こるよ、と繰り返し叫び乍ら部屋を暴れまわり、スナックを喰い散らかす。
青年に大東駿介、未来のものに浅野和之、未来のことにポピエルマレック健太朗(子役で日替わり)。導入は大東さんのひとり芝居。ここで観客は彼の大きな悲しみに接するのだが、その悲嘆が深ければ深い程ものが現れたときの衝撃が大きい。青年の嘆きから察するに、その失われた人物は彼の妻あるいは恋人……青年と年齢がそんなに離れていない女性、という先入観を持ってしまっているからだ。登場したものは白髪の長い髪と真紅のワンピース姿の浅野さん。青年と年齢が近い訳でもなく、老爺か老婆かも判らない。観客の反応はどよめきと笑い、そして困惑。
困惑は尾を引く。確かにパートナーの年齢が近いとは限らない。女性とも限らない。しかしこの人物(?)の性自認は女性かもしれない。いや、ウィメンズの服を着たい男性でも構わないのだが……。考えているうちに芝居は進行する。ものは一度消え、スーツ姿の老人となり再び現れる。失われたひとは戻ってこない、何かは起こりそうで起こらない。でもいつかきっと起こる。未来が永遠に先延ばしされればいいのに。
25分はあっという間。ひとは(自分は)目にしたことに振り回されてしまう。先入観と偏見の違いも考える。浅野さんのチャームが爆発していた。リアル次元大介の体型に、仕立ては洋服の並木(※)ですか? と訊きたくなる細身のスーツ。似合いすぎる。細い足首が見える丈のパンツ、というところも最高。ワンピースも、見ていたらなんだかかわいらしく見えてきた。
※モッズスーツの仕立てが得意な有名店。コレクターズやミッシェル・ガン・エレファントの衣裳で知られ、多くのバンドや芸人に愛されている
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・『A Number ─数』
父と息子(たち)の会話。自身がクローンだと知り父を問い詰める息子。何故そんなことをした? 「数いる」他の僕はどこに? オリジナルは誰? オリジナルなんていうなよ、でも、俺はあれがほしかったんだ。あれと同じものを。
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09月21日(土)
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