ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■小林建樹『25th anniversary』
小林建樹『25th anniversary』@Com.Cafe 音倉

「次回のライヴでやる曲のリクエストを」って紙が配られてまして、それに書こう♪と思ってた曲をなんと今回やってくれたもんだからめちゃめちゃビックリした…今月はこの花づいてる。「ミモザ」はいつでも痛くて沁みるが、今は尚更。聴けて本当にうれしかった。25周年おめでとうございます #小林建樹 pic.twitter.com/tuf8mlFeB0— kai ☁️ (@flower_lens) May 25, 2024
で、狼狽したので何をリクエストすればいいか訳がわからなくなって(だってどれをやってくれてもうれしいじゃん)なんだか普段でもやる確率が高いものとか書いてしまった……家に帰ってディスコグラフィーを眺め乍らじっくり考えたかった〜。

そう、「ミモザ」やったんですよ。個人的にはこの曲、“世界の全部が入っている曲”として高橋徹也さんの「犬と老人」と同じ箱に入っているのです。曲も素晴らしいんですが、とにかくいつも歌詞に打ちのめされる。ひとはこんなに達観し、でも諦観ではなく、全てを受け入れることが出来るのだろうか。悔しさや苦しさを抱えたまま、そんな思いに至ることが出来るのか。この曲が最後に収録されている『Music Man』は、小林さんがメジャーレーベルに在籍していた最後のオリジナルアルバム(その後カヴァーミニアルバム、ベスト盤を出してメジャーからは離れる)。最後がこの曲だったことで、当時はいろいろ考えた。ある世界への別れのようなものなのか。だとしたら、新しい世界はどこにあるのか。などなど。

20年以上経って知り、驚いたことは、この曲が『Music Man』のなかでいちばん最初にレコーディングされたものだったということ。この日のライヴで話してくれた。キティレコードは池尻大橋にあったこと、神戸から出てきたばかりで、東京のことも社会のことも知らなかったこと。「池尻大橋って、渋谷からすぐのところなのに閑静で」「住宅街の間に、ぽつ、ぽつ、とお店がある。看板とかもなくてね。あ、お店やん! 入っていいんやって」「地元(神戸)は、なんていうか、お店もドサーッってある感じなんで(笑)」「おしゃれやなあ、って」。そこにあったキティのAスタジオはとても広かった。30人くらい入る、オーケストラの録音も出来る。ストリングスアレンジがあった「進化」もここで録った。レコーディングの合間にバスケットをして(!)遊んだこともあったそう。

そして「ミモザ」は、その広いスタジオにグランドピアノを一台置いて録った。いい曲が出来た、いいものが録れたという手応えがあり、アルバムもきっといいものになる、と思ったそうです。この曲は惜別ではなく、ある種の旅立ちをも描いた曲だったのかもしれない。今になって、そう思えたことがうれしくもあった。

今回は『25th anniversary』というタイトル。前回が『25周年、一緒に楽しみましょう!』というタイトルで、なんだか被っているけれど、今年はアニバーサリーイヤーですからね。それにちなんでか昔話なんかもしてくれたんですが、メジャー時代についてくれたNくんというマネジャーの話が面白すぎた。「もうダメですわー、ぼく死ぬんですわー」が口癖で、キャンペーンで地方に行ったときホテルの部屋から出てこなくて、電話したら「手が真っ青なんです、もう死ぬんです」といわれたと。手を見せてもらったらホントに真っ青。「どうしたん!?」とよくよく見たら、ジーンズの色写りだったと(笑)。ジーンズの裾で手を擦るのが癖だったんですって。すごいオチだな。こちらからすると小林さんも相当なイメージなんですが(失礼)それに輪をかけて強烈なキャラクター。死ななくてよかったね。健康ってだいじね。

そこで今回は健康について考え込んでしまいました。心身ともにヘルシーであること、そしてアーティストの健康とは?


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05月25日(土)
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