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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■はえぎわ×彩の国さいたま芸術劇場 ワークショップから生まれた演劇『マクベス』
はえぎわ×彩の国さいたま芸術劇場 ワークショップから生まれた演劇『マクベス』@彩の国さいたま芸術劇場 小ホール
という訳ではえぎわ×さい芸の110分『マクベス』。シェイクスピアの台詞をしっかり“云える”役者が揃ってて耳にうれしい作品でした。「これを伝えるのにこんなに修飾語使うんかい」とツッコミつつもやっぱりそれが面白いですわ… pic.twitter.com/XUtAb8RUK1— kai ☁️ (@flower_lens) March 2, 2024
シェイクスピア作品をわかりやすく、親しみやすいものとして上演するプロダクションといえば、山崎清介演出の『子供のためのシェイクスピアカンパニー』(現イエローヘルメッツ)という優れたカンパニーがありますね。はえぎわ×さい芸もこれをシリーズ化してほしいなあと思った次第。
約17ヶ月の大規模改修工事を経て、彩の国さいたま芸術劇場が3月1日にリニューアルオープン。今作『マクベス』は2月に東京芸術劇場でも上演されましたが、これはもうさい芸で観たい! と開館を待っていたのでした。ウキウキ気分で与野本町へ。
さい芸の小ホールは座席後方からの入場になるので、舞台美術の第一印象は俯瞰になる。まず目に入ったのは、(おそらくチェス盤を模した)グリッドがひかれた床面と、その上に整然と並べられた椅子、両サイドに雑然と置かれたさまざまな小道具。……この椅子、『2014年・蒼白の少年少女たちによる「カリギュラ」』で使われてたやつだろー! とエモも極まる。東京公演を観たジェンヌによるとスタッフさんからの提案だったそう。『たかが世界の終わり』のときにも思ったけど、保管というものはアートにとって重要なものだと感じ入りましたね! 財産よこれ! 同時に劇場のプロダクションカラーにもなる。だいじ! ラストシーン、あの首が浮いてるように見えるシーツもさい芸の財産ですね! てか『カリギュラ』ってもう10年前か…時が経つのは早いもので……。
閑話休題。張り切ってチケットをとったためか、自分の席は最前センターブロック。この視界は今しか観られない、としばらく最後列の通路をうろうろする。俯瞰の席で観ても面白かっただろうなあ。さい芸の小ホールはすり鉢状で最前列と最後列の段差がとても大きい。芸劇シアターイーストの座席段差とはかなり違うので、見え方は多少違ったかも。両方観てみればよかったかな。
という訳で最前列。目の前に撮影用のカメラが設置されている。観劇の障壁には全くならない位置だったが、これがなんとも気になる。というのも、目立たないようにとカメラは黒い布で覆われており、それがフードを被ったマント姿のちいさないきものに見えたのだ。あのーあれよ、スターウォーズのジャワみたいな感じよ。破滅していく人物を、舞台と観客の間に陣取って見つめる妖怪。なんともいえない不思議な効果。たまたまだけどね。
開演前のアナウンスがバグっている。10分前と開演直前。「なります」を「なるま…なります」などといったりしている。一度目は単にいい間違えたんだな、と思ったが、二度目となると「んん?」と思う。うしろのひとも「また間違えてる」と話している。ところが、具体的には忘れてしまったが、暗転寸前に「明らかに意図的であろう」いい間違えをした。携帯の電源を切る等の諸注意を観客が聞き流せないようにするためか、劇世界への入口を開けたと宣言するためか、妙なインパクトがあった。開演15分前あたりから、ステージには出演者の出入りが始まる。魔女3人が行ったり来たり。観客の注意を惹くように、置かれている数々の小道具をいじって音を出す。いちばん使われていたのは、らせん状の木琴に木のボールを落として音を出す知育玩具(カラコロツリーみたいなやつ)。踊るようにグリッドを行き来する魔女は、ときおり観客をふいと見渡す。ドキリとする。
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03月02日(土)
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