ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■SPC 26th Anniversary 高橋徹也27thデビュー記念日『see the light 2023』
SPC 26th Anniversary 高橋徹也27thデビュー記念日『see the light 2023』@Star Pine's Cafe
憧れのReflections、希望のNewest Model pic.twitter.com/g0OZNcjWkc― kai ☁ (@flower_lens) September 21, 2023
「声の波紋」のあの声が、一週間経った今も耳にこびりついている。
「約十年振りの再会となった山本隆二さんとのデュオ演奏」(後述ブログより)。10年前を振り返りつつ、そこにあるのは最新型。27周年おめでとうございます。Star Pine's Cafe(SPC)も26周年おめでとう。
私が高橋さんのライヴを初めて観たのは2013年、佐藤友亮(sugarbeans)さんのピアノとのデュオ編成でした。まさに10年前。その時点で、高橋さんはデビューして既に16年半くらい経っていたことになります。2005年に『ある種の熱』をリリース後、長い沈黙期間に入った(らしい)高橋さんが新作『大統領夫人と棺』を携えシーンに復帰(?)したのが2013年。その間断続的にライヴは行われていたようですが、山本さんがレコーディングやライヴで参加していた時期は『Reflections』『ある種の熱』辺りだったそうなので、完全に入れ違いだったんですね。2013年リリースのライヴアルバム『The Royal Ten Dollar Gold Piece Inn and Emporium』でのkeyは上田禎さんだったので、山本さんの演奏をライヴで聴くこと自体が初めてでした。
ちなみに2004年リリースの『Reflections』は現在入手困難、この通り高値が付いております…ってか自分が血眼で探してたときより相場上がってんな。結局手に入れられてない。『REFLECTIONS 2018』で全曲聴けたときはとてもうれしかった。そうそう、この日のエレベーターでの会話、忘れがたい。見ず知らずの人と思わず感想を交わしてしまうくらい素敵な夜だったのです。
このとき「何故再発出来ないか」という話をされていました。リアルタイムで体験していない『Reflections』シーズンと山本さんは、手が届かない憧れの音。それが今夜聴けることになった。「入手困難、再発困難」に閉じ込められている楽曲を、さまざまな企画とともにライヴで披露してくれる高橋さんのアイディアには毎回唸らされます。
ステージ下手側にハモンドオルガン、フロアに向かってNord Piano 2、中央寄りにグランドピアノ。鍵盤に囲まれ、マイクを隅に追いやった(笑・喋る気ないでしょうと高橋さんにツッコまれていた)セッティングは、要塞にもプライベートルームにも見える。簡単には他者を寄せ付けなさそう……という印象とは裏腹に、高橋さんとのやりとりは静かで流麗。青い炎のような熱さと強さも感じました。ピアノをミュートして弾くところもあり、ハンマーが弦を叩く音がカタカタと聴こえて心地よい。Nord PianoはKORGみたいな音がしてかわいい。オルガンの音色も新鮮。「5分前のダンス」で始まり、2曲目にはもう「惑星」。キエー『The Royal〜』で繰り返し聴いてベースラインが染み付いてる(自分比)「惑星」が、ピアノとギターのデュオだとこうなるのかー! と真顔のまま興奮。そもそもオリジナルの音源で弾いているのが山本さんなんですよね。
『Reflections』にしか収録されていない(確か)「憧れモンスター」と「声の波紋」を聴けたのはとてもうれしかった。圧倒されたのは「声の波紋」。世紀末的風景に引きずり込まれる。地声と裏声が微分音で移行していくメロディは、喉のコンディションにも左右される。少しでもズレたらただピッチを外したように聴こえてしまう。この揺らぎこそブルーノートというのだろうが、それに「声の波紋」と名付ける辺り、自身の声をよく知っている。
2004年の楽曲? この日のために用意されたかのようじゃないか。この編成で演奏されるのを待っていたかのよう……というのは5年前の『REFLECTIONS 2018』でも思ったこと。高橋さんの演奏と歌は、常に当時の再現ではなく、いつでも最新型なのだ。「新しい世界」と「ユニバース」を同じ日に聴いたのも個人的には初めてのことで、盆と正月がいっぺんに来たかのような気持ち。納涼のつもりで来た筈なのに(笑)。涼やか乍らもエキサイティングな夜になりました。
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09月21日(木)
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