ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■Noism Company Niigata × 小林十市『A JOURNEY〜記憶の中の記憶へ』
Noism Company Niigata × 小林十市『A JOURNEY〜記憶の中の記憶へ』@KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
Noism×小林十市『A JOURNEY〜記憶の中の記憶へ』穣さんと十市さんの記憶の旅と、それを繋ぐベジャール へのオマージュ。記憶は残るし、旅は続く。再演はないと思っているけど、また会いたいなあ pic.twitter.com/al88vSIFoY— kai ☁️ (@flower_lens) October 16, 2021
[第一部]
Opening I
追憶のギリシャ
BOLERO 2020
[第二部]
The 80’s Ghosts
Opening II
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振付・演出:金森穣
音楽:マノス・ハジダキス、レーラ・アウエルバッハ、モーリス・ラヴェル、ユーグ・ル・バール
衣裳:堂本教子
Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2021、フィナーレを飾るのはDDD2021ディレクター・小林十市とNoism芸術監督・金森穣のコラボレーション。モーリス・ベジャール・バレエ団(BBL)で踊ってきた十市さんのために、ルードラ・ベジャール・ローザンヌで学んだ穣さんが振り付けた作品です。Noism副芸術監督(Noism 0)の井関佐和子、Noism 1のメンバーであるジョフォア・ポプラヴスキーもルードラ出身だそう。偶然とはいえ、今年に入ってから東京バレエ団、BBLとベジャール作品を続けて観た記憶も新しい。BBLに至ってはリスケのおかげで(?)今作とスケジュールが丸被り。十市さんもその辺気にしてらしたようで、当日パンフレットに「何といってもBéjart Ballet Lausanneの来日公演に丸かぶりのこの週末ですから(笑)」なんて書かれていたけど、会場では「BBLからハシゴしてきた! カーテンコールの途中で出てきて間に合った」という声も聞こえましたよ。
ベジャールとの追憶の日々、そこから踏み出す一歩。ダンサーとして再出発する十市さんへのファンファーレのようにも感じられる作品でした。青春の終わり、身体の衰え、しかしなくならない(より募る)ダンスへの情熱。孤独と痛みを抱えてまた歩き出す。ひとりじゃない。ひとの繋がりは拡がっていく。それらが70分に凝縮されていた。
トランクを持ち現れる十市さん。舞台中央の椅子に座り、トランクのなかから写真を一枚ずつとりだし眺める。後方スクリーンに映像が映し出される。ベジャールの指示を受ける姿、BBLで踊った日々……。過ぎた日々を懐かしむ彼の元へ、穣さんが現れる。肩に手を置き、笑顔を交わす。「追憶のギリシャ」が始まる。だいたいこのふたりが一緒に踊るのが観られただけでもひいいい(嬉)というもの、しかもそれがベジャール「ギリシャの踊り」への返歌ともいえるダンスだったのでもう涙ぐみますよね。穣さんの表情がすごくいい。「兄貴」と踊れる喜びでいっぱい。近年はNoism芸術監督、集団を率いる「長」としての顔しか見ていなかったので(今年は紫綬褒章も受賞しましたし)、この屈託無いともいえる表情にはやられました。
そこへ佐和子さんが現れ、Noismのメンバーが現れる。十市さんを交え、祝祭的なダンス。上手に椅子が用意され、そこへ促され座る十市さん。何度聴いたかわからない、あのリズムが聴こえてくる……コロナ禍のなか映像作品として発表された「BOLERO 2020」をステージで観られるうれしさと、視点を自分で決められる舞台鑑賞ならではの贅沢な悩み「どこ見りゃいいんだ!」が同時に発動。しかも今回は隅っこで見ている十市さんも観たいわけです。困るがな(笑顔で)! しかし迷っている暇はない、何せ「ボレロ」は15分程の曲なのだ。開きなおって気の向くままにキョロキョロする。そうなるとやはり佐和子さんに目がいく。笹の葉のように揺れ、ナイフのように切れ味鋭く踊る。彼らを見つめる十市さんの姿勢の美しいこと。座っている姿そのものにも物語があるよう……と思っていると、十市さんが立ち上がり、ステージ中央へと歩いていく。輪になったNoismメンバーの中心に加わる。これって、これって……十市さんのメロディだ!!! クライマックスの瞬間、メロディがリズムに呑み込まれると当時に暗転。
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10月16日(土)
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