ID:43818
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by kai
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■南極探検いろいろ その2『BLIZZARD: Race To The Pole』
『BLIZZARD: Race To The Pole』

Blizzardちょっとずつ観てってるんだけど犬ぞりのいぬがケンカばかりしている pic.twitter.com/FXgAGrxw2H― kai (@flower_lens) January 3, 2020
そうそう『BLIZZARD: Race To The Pole』観終わったんですよ。犬も人間も全員無事帰還出来るからホッとしましたわ(セスナが迎えに来てくれる)。ほんっと何もない、雪しかない極点を目指す旅の美しさと恐ろしさ。方位磁石通りに進んでるのに道に迷ったシーンは震え上がったよ…… pic.twitter.com/E16VehDQWb― kai (@flower_lens) May 9, 2020
2005年ごろのことなんですが、ちょうどスコット探検隊の旅から100年が近いので(※スコットが南極点に到達するのは1912年)、BBCで番組をつくるというので参加したんです。スコット隊が行ったのは南極ですが、いま南極には犬ぞりでは入れませんので北極に行ったんです。番組の主旨は、スコットの時代と同じ装備/服装で旅を再現するというものでしたから、ツイードの服を着て出かけたんですよ(笑)。3カ月ほどの旅で、最初の2カ月は犬ぞりを使って、あとは徒歩で北極にかなり近いところまで行きました。帰ってきたときは25kgも体重が減ってました(笑)。
北極の旅では見るものも聴くものもないですから、とにかく考えるしかないんですね(笑)。そこで「自分は何がやりたいんだろう」ってじっくり考えて、やっぱり音楽かな、となって、やるならちゃんとやろうと決めて、音楽学校の作曲科に1年通いました。26歳のときです。
(「ペンギン・カフェ」の夢は21世紀も続く:音楽家アーサー・ジェフスに訊く┃WIRED)

その「BBCの番組」というのが今作『BLIZZARD: Race To The Pole』。2006年に一時間番組の全6回として放送され、その後DVD化されました。おかげで今観られる〜。二枚組の356分、日本語はおろか英語字幕もなかったので雰囲気で鑑賞したところもありますがまーこれが面白い。面白いといっていいのかとも思うが。

1911年、南極点を目指して二組の探検隊が出発します。ノルウェーのアムンセン隊とイギリスのスコット隊。アムンセン隊が初到達の座を獲得し無事帰還、一方スコット隊は遅れること35日。失意の帰路で彼らは全員遭難、遺体が発見されたのはその8ヶ月後のことでした。

スコット隊には不可解な点が多い。4人分の装備と食糧を用意していたのに5人で出発し、機動力があり寒さに強い犬よりもどデカい動力雪上車と馬でそりを引くプランを重視する。結果雪上車と馬は極寒に耐えられず、そりを人力で引くしかなくなる。スキーも栄養も足りなかった隊員たちは体力をどんどん消耗する。デポ(食糧や燃料の補給所)に置いていた燃料が容器の破損で漏れ出てしまっていたり、その時期には珍しい嵐=ブリザードに遭遇するという不運も重なる。

旅程どおりに天候は再現出来ませんし、グリーンランドはちょっとはあったかそうです。犬ぞりの犬たちには食用の役目もありましたが(進むにつれ食糧等荷物が減る→そりが軽くなる→そりを引く犬を減らしたい→犬を食べれば一石二鳥! アムンセンの無駄も慈悲もないどプロフェッショナルっぷりよ……ちなみにスコットは馬を殺すことも躊躇したそうです)、現代の旅ではセスナが迎えにきてくれる。犬も人間も、皆無事に帰れます。

それでもブリザードはやってきて道を阻むし、人間は疲労し怪我をします。ちなみに冒頭のインタヴューでアーサーが「徒歩」といっている箇所、さらっといってますが数百キロはある荷物を積んだそりをスキーで引いて、ですよ。ぜんっぜん動かないの。そのうち天気が良くなって雪が溶けてくるとスキーも滑らなくなるからますます動かないの。


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05月11日(月)
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