ID:43818
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by kai
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■高橋徹也『夜に生きるもの/ベッドタウン』発売20周年記念再現ライブ
高橋徹也『夜に生きるもの/ベッドタウン』発売20周年記念再現ライブ@Star Pine’s Cafe

クラシックが何百年も生き残っているように、名盤はその構成含めて再演され続けるということであって、アルバム再現は懐古じゃないんだなと思いました。 pic.twitter.com/P3RNE3wG5B― kai (@flower_lens) October 28, 2018

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vo/g:高橋徹也
b:鹿島達也
drs:脇山広介
key:sugarbeans
pedal steel:宮下広輔
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再現といっても、コピーではないのだ。当時のレコーディングメンバーは高橋さんと鹿島さんのみ。ホーンは不在。二枚のアルバムは、現在のものとして甦る。そしてきっと、再演の度に時代の空気とプレイヤー同士の関わりを得て生まれ変わる。そんなことが出来るのも、このアルバム二枚が「怪物」だから、だ。奇妙で異様で、作者自身の才能と、当時彼がおかれた環境なくしては生まれえなかった怪物。

二年前の『夜に生きるもの 2016』と同じ、「ナイトクラブ」のホーンセクション(い〜や〜菊地成孔節〜!)がオープニングSE。リリース順でまずは『夜に生きるもの』、インターミッション(黒から花柄へシャツを着替えてきた高橋さん曰く「46歳のお色なおし。誰も求めてない(笑)」)を挟んで『ベッドタウン』。冒頭、高橋さんのシャウトから「真っ赤な車」が走り出した瞬間が最初のハイライト、「ナイトクラブ」のサビでミラーボールが乱反射した瞬間が二度目のハイライト。はやいな! 中盤の「夕食の後」「女ごころ」でのスウィンギン、ドライヴィンっぷりにも腰が抜ける。ハイライトばっかりだな!

アルバムの曲順は当然考え抜かれたものだが、おそらくライヴ前提のものではない。使用楽器や編成、チューニングを曲ごとにチェックするためか(一曲一曲を順番に丁寧に、という心構えの時間も必要としたのかもしれない)、いつもより曲間が長いように感じたのですが、その間のフロアの静かなこと。聴く側にもかなり緊張感があったように思います。近年のバンド編成でのレパートリーになっているのは『夜に〜』からのナンバーが多い。にも関わらずお色なおし(…)後の『ベッドタウン』の方がリラックスした演奏に感じる……と思っていたら、終盤に近づくにつれ静かに場の空気がはりつめていく。毎度のこととはいえ演奏が凄まじすぎて、聴く方も笑いがとまりませんよ。恐ろしいことですよ。

それはプレイヤー側もそうだったのか、佐藤さんが「いつだってさよなら」のイントロを間違える。しばしステージとフロアからの非難(笑)を受け、「…緊張してて……」とぼそり。別にものすごく久しぶりにやったという曲ではないだけに、あながち冗談でもなかったのかも。高橋さんも終盤は「素面なのに呂律がまわらなくなって」ましたし(MCの。歌は全く問題ありませんでしたよ!)。それだけ集中していたのだろうなあ。ライヴ後に脇山さんが「試合」とツイートしていたのが印象的でした。プレイヤーはアスリート。佐藤さんが鍵盤とコーラスで奏でるハーモニー、脇山さんのドンズバのドラミング(「シーラカンス」、圧巻!)、「鏡の前で〜」「ベッドタウン」でエレキギターを立奏した宮下さんの「ベッドタウン」のアルペジオ素晴らしかった。そして鹿島さんは鹿島さんですからしてもうね。アップライトベースみたいな音のする平べったいベースの音、恰好よかったなあ。で、アップライトではボウイングも。高橋さん曰く「なんなんだ、このひと!」ですわ。


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10月28日(日)
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