ID:43818
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by kai
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■高橋徹也『Style 2017 "After Hours"』
高橋徹也『Style 2017 "After Hours"』@風知空知

『高橋徹也のゆく年くる年・この無礼講がすごい2017』。濃密な安藤忠雄展からのハシゴで疲労困憊、選んだ席はストーブの近くでぽかぽか、こりゃ寝るかもと思ったがそれどころではなかった。音楽のあまりの気持ちよさに眠気がというのも幸せなことですが、あの楽しさのなかでは目も冴えます。

サニーテラスのような趣の風知空知でバンドセット? と思って出かけたのですが、地の音を活かした耳に優しく心に激しく響く音づくりでした。アコースティックセットの肌触りもあり。ドラムは場に合わせたセッティング(かわいい)と制御された演奏で、アッパーな楽曲でも過度に突出することがない。そのうえ演奏はいつものとおりすばらしー+すさまじー。鹿島さんがメガネかけてて「くもる……」といっていたのでステージ上の熱気も高かったようです。それにしてもこの三日で二回もメガネがくもる発言を聞くとは(笑)。

個人的ハイライトは『The Royal Ten Dollar Gold Piece Inn and Emporium』でアホほど聴いてた「Night Slider」を聴けたこと。このライヴ盤、会社やめようかどうしようかと悩んでいたときに繰り返し聴いていたので(何故)上田さんのkeyのフレーズが耳に染み付いているのですが、今回sugarbeans(佐藤さん)のkeyだとこうなるんだ! というのが聴けてよかった。アウトロでリズム展開を三拍子にガラッと変えたところ、鳥肌たった! 多分「わっ」て声出てた。うえー来年もライヴに行けるよう仕事がんばろう……。

そうそうそんでね、「惑星」を聴くのも夢なのです…まだライヴで聴いたことがない。これも上田さんのピアノによる導入が大好きで。佐藤さんが演奏したらどうなるかなー。

それにしてもこの「Night Slider」前後、「もういいかい」から「シーラカンス」の流れがもー素晴らしくて。序盤「風知空知でバンドセット、どうなるか……」みたいな不安と期待が入り混じったようなMCをされてましたが、ここから完全にもってった感じ。「シーラカンス」の映像喚起力がすごかった…ウッディな風知空知がそのまま深海に沈んでいくかのようだった……。リラックスして聴いていたけどこのときばかりは窒息しそうになった。曲がおわってはああ…と深呼吸してしまった。はーこのバンドは朝を夜にし冬を夏にし街なかを海辺にするな。たまらん。

『Style』のレコ発アフターアワーズでもあったんですが、この話をはじめたあたりから高橋さんのMCが壊れだす。「後夜祭?」「あのーあれなんていうんでしたっけ、あの木を組んで火を燃やすやつ……(キャンプファイアーとはいわなかった)」「アフターパーティとは絶対いわねえ」「今日は無礼講ですよ」からの〜どういう流れか忘れたけど脇山さんと殴り合いたいとかいいだして、「俺が無礼講だった」。あのすんばらしい演奏の間にこれですから緊張と弛緩がものすごかった(笑)。あと鹿島さんの持ちネタ(?)だった「新人紹介用の資料ビデオを見たら高橋が白いマフラーして演奏してて、俺は白いマフラーをしてライヴするやつを初めて見た」って話を自分から話していた。その流れで佐藤さんと初めて会ったのは朝日美穂(高橋さん曰く同じ歳+いいやすいので呼び捨て)との対バンだったという話になって、鹿島さんが「そのとき楽屋で皆で写真撮ったんだけどこんなポーズ(ジェスチャー)してて、何それ? て訊いたら『バルタン星人です〜』っていったんだよ。初対面なのに」って過去をほじくりかえして大ウケ。佐藤さん「今年いちばん恥ずかしい」といっていた。

鎌倉molnでのライヴ告知の流れで、「この日は浜辺で夜通しビール呑みたいですね」ともいってたな。ライヴは年明け。無茶いう。「皆さん今年はどんないいことがありましたか?」と投げかけてレスポンスがなかった(というか奥ゆかしいお客さんが多かったのでは)とき、「高橋さんの新譜が出たことー!」とかいえばよかったか…心のなかでは叫んでましたけど……。あかん、演奏素晴らしかったのにMCのことばかり書いてしまう。アットホームでフレンドリー、皆笑顔でうたったり手拍子したりコールアンドレスポンスをしたり。菊地成孔いうところの方舟のような空間で幸せな時間をすごしました。


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12月01日(金)
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