ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■SPC 20th Anniversary event 高橋徹也[10th New Album 発売記念ワンマン『Style 2017』]
SPC 20th Anniversary event 高橋徹也[10th New Album 発売記念ワンマン『Style 2017』]@STAR PINE'S CAFE
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Vo、Gt:高橋徹也
B:“KID”鹿島達也
Key:“sugarbeans”佐藤友亮
Drs:脇山広介
Pedal Steel:宮下広輔
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記念イヴェントが続いております。スターパインズカフェ20周年+高橋徹也さん10枚目のアルバム『Style』リリースおめでとうございます! いやー、いやー、すばらしすさまじかった。心眼に訴える演奏と歌、眼前に風景がぶわっと拡がる。そういう意味では聴衆に魔法をかけるバンドだなあ。催眠にかけるといってもいいか。だんだんあやしげな喩えになってきましたが、聴き手を瞬時に作品世界のなかへ引きずり込む演奏なのです。いや、すごいな……。プレイヤーに手練れが揃っているのは勿論なんだが、そういうひとらがよってたかって調子に乗れる楽曲と言葉があるからこそ。げにおそろしきは高橋さんの描写力と表現力。
こちらの思い込みもあるかもしれないが、ちょっと堅いスタート。ライヴではやりなれているものの「新譜の曲」を披露する、という緊張もあったのだろうか。それともあれかな、メンバーが登場したときすごーい静かだったんですよフロアが。SEが消えて照明が落とされる迄の時間もとても静かで。こっちからすれば「いよいよ新譜が……」とか「どんなステージが観られる?」という期待が大きくて、一音たりとも聴き逃すものか、一挙一動見逃すものかという集中度合いが高かったためだと思うが、リリパだし周年記念のお祭りらしくわーっと盛り上がればよかったか。
さて始まってみれば、今度は音の鳴りが普段と違って聴こえたことにもちょっと戸惑った。二階にいたからかもしれないが、当方SPCでの高橋さんのライヴは二階から観ることが多いので勘違いでもなさそうだ。鹿島さんの音が埋もれてる感じがしたのだが、全体の演奏はとても綺麗に聴こえる。普段(といっても昔は知らないので近年の、か)の音響バランスとは違うように感じた。新譜からの楽曲を演奏するにおいて、何か調整があったのかな。
というわけで序盤はこっちもえらい緊張して観てたんですが、鹿島さんがアップライトベース持った辺りから普段のペースになったように思いました。途中メンバーが各々チューニングしてるときもすっごいシーンとしてたのですが、準備が出来た高橋さんがにっこり笑って「今の、いい時間でしたね」とひとこと。常連のお客も多いとは思うけど、やっぱりリリパって(特に高橋さんのは)特別な雰囲気がありますね。
ライヴで練られ(なんでも初披露から17年経っていた曲もあったそう)満を持してにも程があるというレベルで収録された新譜の曲の数々ですが、スティールペダルと高橋さんの声の相性についておおお、と思うところが多かった。えーとうまく説明出来るかあやしいが、あのー高橋さんの楽曲って転調だけでなく半音上げ/下げを一曲のなかでいったりきたりする展開って多くないですか。で、それらは音符で切るというより所謂グリッサンドになっていることが多い。スティールペダルはそれにうってつけの楽器ですよね。うわっとなるのは、それを高橋さんが声でもやるところ。ロングトーンのまま上げ下げする。この揺らぎ、ちょっとズレるとピッチが合ってないとも思われかねない。さらっとやってるけどすごい難しいのではないか……自分でも何いってるかわからなくなってきてるが伝わってますか。「シグナル」「雨宿り」が顕著でした。歌詞のセンテンスの切り方も独特なリズム感、スキャットも魅力。高橋さんのうたぢからが強く印象付けられました。
リズムといえばシャッフルみたいなリズムパターンのアレンジが随所にあって、これがまあ素晴らしかったですね。素晴らしいばっかりいってるが。余談だが先週ウォルター・ベッカー逝去(はやいよ……)に伴いSTEELY DANをよく聴いていたのですが、メンバー紹介から「Aja」に入る展開のライヴ音源がすっごいこの日の演奏に重なりました。自在か! という。座って聴いてても腰が浮く。静かに聴いているのに心に波風がたちまくる。スキルを手にしたパンクっておそろしい。
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09月10日(日)
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