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by kai
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■三宅純@BLUE NOTE TOKYO
三宅純@BLUE NOTE TOKYO

二日目、2nd set。選んだ席の目の前に宮本大路の写真が飾られていた。写真の下には「May his soul rest in peace: Mr. Dairo Miyamoto」の言葉。開演前から胸がいっぱいになってしまう。宮本さん、平幹二朗、ピナ・バウシュ。彼らゆかりの楽曲が演奏されたとき、マライア(!)の村川聡が第一声を放ったとき、「時間を操作できるのが音楽の特権」という三宅純の言葉を思い出す。

幻の楽団が街にやってくる。演奏を終えると跡形もなく消え、次いつ遭えるかわからない。本当にいたのかな? 答えは自分の記憶のなかにしかない。こういうところ、自分のなかでは維新派に通じるものがある。『エレンディラ』の、砂漠に現れ消える旅団のイメージもある。二年前、そのヴィジュアルイメージに新たに加わったものがある。『Lost Memory Theatre』だ。

今回のステージは二年前を思い出すものだった。KAATの赤がBLUE NOTEの青に、といった色彩の変化はあれど、楽団のなまめかしいような妖しさは、記憶を呼び起こすのに充分だった。違ったのは、今回は劇伴という要素がなかったこと。ステージが客席から近いこともあり、演奏陣のリラックスした表情を見ることが出来たこと。裸足で現れたリサ・パピノーの呪術的な踊り、その存在感! プレイヤーは基本イヤーモニターをしていたが、三宅さんだけはヘッドフォン。ピアノとフェンダーローズをいったりきたり。フリューゲルホルンを手にステージ前方に現れたとき、「待ってました」と言わんばかりにフロアの空気が動く。どの曲だったか……決して広いとは言えないステージ、ソロに出てきた三宅さんの前に勝沼恭子がいた。彼はそっと彼女の背中に触れ、ソロに出るからちょっとスペースをちょうだい、というようなジェスチャーをした。そのあとの勝沼さんがとてもかわいらしかった。演奏は続いている。自分が立ち位置をずらしたら、後ろのストリングスのメンバーは客席から見えるかしら? そんな気遣いが感じられる表情と仕草。劇伴では見られない光景だ。

視線を合わさない三宅さんと金子飛鳥のスリリングなやりとり。コスミックヴォイセズからは三人の歌い手とコンダクターがやってきた。「ライヴがはねたあとのうちあげで延々唄ってくれるんです。いつまでも唄えるみたい」と紹介されたフォークロアも披露し、フロアがわく。パリ、LA、ソフィア、東京。国籍にすると全部で6カ国から集ったメンバー。静かで優雅なのに混沌としている。この感じ、何かを思い出す……いつだ、どこだ。

村川さんが登場したとき、それが像を結んだ。彼が現れた途端、場が一気にグランドキャバレーの空気になった。無骨な歓声がとぶ。応える村川さんのふるまいがまた粋。旧友ともいえる人物と、異邦人として出会ったひとたちとが一堂に会する。これは見た、かつて見た。BLUE NOTEから15分ほど歩けば辿り着く、南青山CAYで。あの時間が鮮やかに甦る。繋がっているのだ。エレガントなモンドミュージック。国を行き来し、ひとと出会い、ひとりひとりが立っている。雑種の逞しさ。

リサと勝沼さんが微笑み合い、抱き合う。リサがイヤモニを投げる。激しく踊り、開脚で着地する。イグナシオとヴァーニャが手をとりあってダンス、そしてビズ。誰もがこどものような笑顔。なんて幸せなアンコール。天国ってこういうところかな、と思ってしまうほどだった。そこには宮本さんがいる。平さんが、ピナがいる。音楽が時間を呼び戻す。あるいは、これからの時間を見せてくれる。そんな場所に居合わせることが出来て嬉しい。感謝、感謝。またいつか会えますように。

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セットリスト(Kiev@三宅 純公式サイトツイートより。1、2、3)

2nd Set
01. zed fate
02. the here and after
03. Deciduous
04. frozen tide
05. Easturn
06. Red shadow
07. A Lua pela grade
08. Tres
09. Miraculous Mandarin
10. Bre Petrunko
11. Easy To Let Go
12. flutter
13. Colors
14. Niji wa Tohku(vo:村川聡)
15. Petal
Encore
16. est-ce que tu peux me voir?
17. Alviverde

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三宅純(flh, fender rhodes, p)

Lisa Papineau(vo)


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