ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■MANIC STREET PREACHERS 'EVERYTHING MUST GO' 20th Anniversary Tour
MANIC STREET PREACHERS 'EVERYTHING MUST GO' 20th Anniversary Tour@studio coast

『THE HOLY BIBLE』20th Anniversaryはリリースから一年後の来日、そしてフェスでの出演でしたが今回は同年で単独来日。うれしい、うれしい。上記の日記にも書いているが、『THE HOLY BIBLE』再現はもうつらいことばかりが思い出されそうで観たいけど観たくない、と直線迄胃痛でキリキリしてたバカなんですが、今回は仕事の方でストレスがな! 久々に神経性胃腸炎おこしてな! しかし体調はわるくともライヴは素晴らしくよかった! 楽しんだ! マニックスのライヴに行くと元気になるよ〜。

後述のインタヴューにもあるとおり、『THE HOLY BIBLE』アニバーサリーツアーは規模のちいさいものだった。バンドのアティテュードが最も表れていると言われる代表作ではあるが、リッチーの心象風景が最も色濃い作品でもある。その内容や制作過程、後に起こったことを考えると、盛大にお祭り騒ぎなど出来ない心境にもなるだろう。リスナーとしてもフェスで聴くのは複雑な思いだった。今回の『EVERYTHING MUST GO』はリッチー不在のまま動かざるを得なかった迷いの一枚だが、第一歩でもある。素直に祝福したい。

曲順どおり、ブリッジのSEも再現。あのラジオから流れてくるようなひずんだ歌声を、ジェイムズがエフェクトなしでまっすぐに唄う。曲順どおりなので当然二曲目に「A Design for Life」、わかっていたのに涙腺決壊。序盤から佳境です。久しぶりに聴く曲も、ライヴで初めて聴く曲もあったかな。当時何度も繰り返し聴き、今でもよく聴く思い入れの強いアルバムだが、それにしても全ての楽曲が素晴らしい。アルバム構成も見事。あの状況のなか、どうしてこれだけのものを創れたのだろう……バンドのポテンシャル、特異さを思い知る。

ライヴは感傷を振り払うように進む。ジェイムズの溌剌、テキパキとしたふるまいもあり、体感時間も短い。そうなのだ…ジェイムズの勤勉さといおうか、実直さといおうか……(余談だがこのツイート、あまりにもジェイムズだわ〜と笑ってしまった)いつものことではあるが、マニックスのライヴはこれなのだ。八面六臂という言葉がこれほど似合うひともいなかろう。豆タンクな体躯で軽やかなステップ、サポートギターが加わり負担は減ったとはいえ、ソロもリズムもギターを弾きまくり、情熱的に唄い、その歌声は澄み切っている。二部構成のライヴが全然二部じゃない(笑)、『EVERYTHING MUST GO』演奏後すぐジェイムズだけ戻ってきてせっせと唄う、弾き語り前の小噺(としかいいようがない)やメンバー紹介の口上(としかいいようがない)も弁舌なめらか、手拍子を煽る姿は極道のようであった。惚れる。いつも惚れてるけど何度見ても惚れる。あんなに美しい声であんなにガラッパチなところにも惚れる。ウェールズのひばりです。

二十年を経たバンドの成長にも驚かされる。マニックスはメンバーの繋がりと、はっきりとした分業制が特徴でもあった。演奏はジェイムズが牽引し、スポークスマンはニッキー。それは作品には強みを発揮するが、ライヴでは厳しい局面もある。ところが近年は、そのバランスがうまくとれてきている。ニッキーとショーンの演奏力があがっている。素人がいうのもなんだが本当に上手くなったなあと思う。バンドの「今」で演奏される、普遍の名曲。メロディアスできらびやかといってもいいアレンジが施された『EVERYTHING MUST GO』の楽曲が、彼らが演奏することにより攻撃的になる。本当に不思議な、唯一無二のバンド。

サポートはすっかりおなじみウェイン・マーレー(g)、ニコラス・ネイスミス(key)。今回は「Kevin Carter」や「Ocean Spray」でtpがフィーチャーされる楽曲がある。このときと一緒なら、演奏していたのはCogan Cannonかな。哀愁を帯びつつも力強い音色、生の管楽器はいいなー!


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11月08日(火)
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