ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[648315hit]
■『自作自演』飴屋法水×江本純子
芸劇+トーク 異世代リーディング『自作自演』第12回 飴屋法水×江本純子@東京芸術劇場 シアターウエスト
リーディングはふたりで一時間(ひとり30分)、休憩をはさんでトークと言うタイムテーブルでしたが、休憩時に時計を見てみれば20:30過ぎ。このふたりがただ朗読して終わる、と言うことはないだろうなあと思ってはいましたが……。トークは駆け足となりました。
最初にふたりと司会進行の徳永京子が登場、挨拶。皆にこやか。飴屋さんと江本さんは小学生の男の子と女の子のようにもじもじしている。徳永さんに「劇作家…と言うことでよろしいですか?」と言われた飴屋さん、ニコニコし乍ら激しく首を振る。「では、演出家…」再び拒否。結局何って言ったときにちいさく頷いたんだっけなあ、パフォーマー? 演じるひと? 音響家だったかな…忘れてしまった(悔)。劇作家、演出家、と呼ばれた江本さんは「はいっ、全く問題ないです!」とキッパリ(笑)。
舞台上にはCDJとミキサーの卓。まずは江本純子による短編「むきだされた天使」。「これは飴屋さんの機材なんですけど、私も一枚CDを持ってきましたので、使わせてもらいます。初めてCDJってものを触ります。壊さないようにしないと……」「私毎日ジョギングしてるんですけど、そのコースがだいたい30分なんですね。なので自分のなかでの30分と言う時間は確かなものです」。リニューアルオープンした道玄坂のストリップ劇場、召集された30人のダンサーたち。出番の多さによって15名ずつ二部屋の楽屋に分けられる、そこで起こった窃盗事件。キャラクターをめまぐるしく演じ分ける。登場人物がせわしなくLINEをやっているさまを、実際に携帯バイブの音を鳴らして表現する。スピードがどんどんあがり、途中登場人物たちが混濁するところはライヴの醍醐味。抜き身の迫力。
続いて飴屋法水、骨壷を持って登場。サイドテーブルにそれを置き、サインペンで字を書いていく。“おばけ もののけ ひと”。『武満徹トリビュート』にも登場したものだ。「自作自演ってあまりいい言葉では使われないですよね、ヤラセ、そうヤラセだ……」と言う呟きからスタート。「この場で考え乍ら、いろいろ読んでいきます」。卓前に座って音を出す。思えば飴屋さんが音響オペするのを「見る」ことは普段叶わない訳で(ライヴは別として)、そういう意味でも非常に貴重。表情が厳しい。さっきはにかむように笑っていたひとの、違う顔。心臓の鼓動音。スピードを変えて、ゆっくりめに設定する。それをキープしたまま、話し始める。自己紹介的なものから、娘の話。人間が生殖して、1たす1が3になった。生まれて一年経ったある日、突然彼女は二本足で立った。飴屋さんもハンドマイクを持ち立ち上がる。誰も教えてないよ、誰も教えてないよ。なのに立った。右足、左足、右、左、交互に足を出して歩いた。誰も教えてないよ、誰も教えてないよ。右、左、右、左。このとき右と言うと左足を、左と言うと右足を出していた。たまたまなのか、意図的なのか、本当に右と左を間違えているのか…冒頭の「ヤラセ」と言う言葉を思い出す。誰も教えてないよ、誰も教えてない……リズムが生まれる。やがてガクン、と崩折れる。脱線したリズムが繰り返される。
[5]続きを読む
02月02日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る