ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『私のなかの悪魔』
『私のなかの悪魔』@あうるすぽっと
男と女のラブ☆ゲームをミステリ仕立てで。ミステリ仕立てだったんだ、と言うのは最後になって判明するので、ある意味見事にやられたーと言う感じです。とは言うものの、男女の関係ってそもそもがミステリ〜なもの☆ すみません言ってみたかっただけです。ストリンドベリ『債鬼』を、演出の青山真治さんとプロデューサー(メジャーリーグ)の笹部博司さんが翻案。原作が発表された当時、妻は悪女と言われたのでしょうか。今となってはそうでもない…と言うか、男のダメさ加減も際立っているので、なんかどっちもどっちじゃね、とニヤニヤし乍ら観ました(笑)。女はカラッと、男はジメジメ。
しかし原作はどうだか知らないのだが、最後の「四十年後」は余計に思えた。その前の場面であの夫婦はいずれ別れるときが来るだろうなと予測出来る(その別れは夫の死によって、かも知れないが)。お互いの「愛してる」が永遠のものではないとどちらもが判っており、夫婦(男女)間の溝はどうやっても埋まることはない。このストーリーの骨子を「四十年後」直前のシーンは台詞と役者の力で見事に表現していた。ここで終わっておけばよかったのに…これぞ蛇足…と思った……(ひどい)。とよたさんがハケてから、四十年後の姿(おおっぴらに着替えたりとかメイクを替えたりと言うものではなかったが)になる準備がいるためかちょっと妙な間が空いたこともその思いに拍車をかけた。終わった?と席を立つひともいたし。
これ、映画的な時間経過の表現を舞台に持ち込んだらうまくいかなかった、と言うように見えた。青山さんが映画監督だからかな、と思うのはこちらの偏見かしら。いやでも、そう思っちゃう程その前のシーンが素晴らしかったんだよ……。
さてそのラブゲームを演じた三人。闊達セクシー男前な妻を演じたのはとよた真帆さん。山田勳生さんのギター生演奏をバックに唄い乍ら登場、間もなく黒のランジェリー(+網タイツ+ガーター)姿になり、隣席のおばあちゃんが「まああ」と声をあげました(笑)。嫁自慢かコラと思いましたが、いや実際眼福であった。ゴージャス!脚が、長い!もーしばし脚ばっか見てしまいましたね。私はスケベなオヤジか。そもそもこの妻役のキャスティングって青山さんが?笹部さんが?『債鬼』を舞台化する時点で決まっていた?この役のために存在するかのように立っていたとよたさん格好よかったわー。歌にちょっと緊張が見られたところももはやかわいい。男たちをバッサバッサと斬る切るKILL、あの妻を嫌味にならずに(まあ、ムカツクんだけど・笑)演じることが出来るサッパリさ加減もよかったです。ときどき顔を見せる、過去を感じさせる仄暗さもいい。
そしてバサバサ斬られる男たち。いやー教員(元夫)ダメだったわ〜タチわるいわ〜しょうもないわ〜半端な知性があるとこがまたイヤだわ〜教員だけに。理屈で女を所有物に出来ると思ってるような、プライドだけは高い男。なっさけないわ〜。芝居を観ていただけのいち観客がここ迄言えてしまう程です(笑)。しかしこの教員、パンフによるとストリンドベリ本人が投影されているとのことで、この作品も実体験が反映されているとのこと。そう考えると気の毒に…と思ったりもしました。そしてこんだけ自分を突き放して描けるのはすごいと素直に思った。その作家の分身を演じたのは佐戸井けん太さん。こんな気味わるい佐戸井さん観たの初めてかも!貴重!イヤだった!(笑)
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03月30日(土)
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