ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『ボクのおばさん』『TOPDOG/UNDERDOG』
自転キン演劇部『ボクのおばさん』@SPACE雑遊
瀧川さん曰く「平均年齢40代の部活動」。じてキン所属の役者さんが立ち上げた「演劇部」の旗揚げ公演です。
じてキンによるじてキンらしいお芝居って、他にありそうでないもので、裕美さんや飯島さんの外部(もはや外部とわざわざ言うのも違和感があるな)での活動でも観られないものだったりする。“じてキンの公演”が観たいなあと時折ふと思い、うずうずする。思えばじてキンって、劇団公演からプロデュース公演(自転車キンクリーツカンパニー)への移行も緩やかで、その後個人の活動がそれぞれ忙しくなっていき(それには役者の活動を休む、やめる、と言う要素も含まれるだろう)、気付けば何年も公演をうたなくなっていた。その変化があまりにも自然で、そこがまたこの集団らしいとも思っていた。
オリジナルのホンで、書き下ろし。自分よりちょっとお姉さん世代の彼女たちが直面するものごとは、これから自分が経験するであろうことでもある。そういう身近なテーマを、面白悲しく見せてくれる。今回の作・演出はサスペンデッズの早船聡さんで、彼の作品は初見でしたが、その“じてキンらしさ”がしっかり踏襲されたもので嬉しくなりました。チラシの言葉にミスリードされていた部分があり、こちらが勝手に予想していたストーリーが違う局面へと転がっていくことに「おお?おお?」と思いつつひきこまれる。途中「ガラスの動物園」と言う言葉が出てきてハッとする。あー、そうだ!しかしそれだけでは終わらない。そして見終わったあとチラシの言葉に戻ると、ああ成程、と腑に落ちる。うまいなこれ……熟練の仕事だ。書く側も、演じる側も。
台詞のテンポがすごくいい。登場人物同士の距離感を瞬時に把握させる、ときにはずかずかと踏み込み、ときには見えない壁を張るさりげない言葉の配置がすごく巧い。そしてそれを口にする役者陣がいい。そうそう、こういう日常会話がめちゃくちゃ絶妙なんだ、じてキンの役者さん。
歌川さんの人間力はますますパワーアップ。明るさも、その裏にある隠し続けてきた悲哀も、全てを抱えこむ生命力も。それらを表現するおばちゃん力が、人物そのものの魅力に繋がる。藤本さんもくたびれた大人が似合うようになり、それが役柄通りの「職人」としての姿を映し出す。とは言うものの、相変わらず美形であった。と言うか相変わらずかわいいですね…見掛けの歳はとらないわねこのひと…アンチエイジングの秘訣を教えてほしいわ!瀧川さんは昨年のびわ湖商業スワンボート部で初めて観たのですがツッコミが絶妙でした。赤ペン瀧川先生として有名?な彼ですが、じてキンとしては比較的新顔?ですよね。しかしプロフィールを調べてみると、過去『散歩する侵略者』にも出演してたりするのねー。松坂さんの蜂のように刺すズバリの物言い、格好よかった。シャツをインにする生活感も絶妙(笑)。そして岡田さんが最後に着てきたミッキーマウスのトレーナーがインパクトありすぎて、それが似合う岡田さんがまた素晴らしかったです…(笑)。客演のおふたりもよかった。
じてキンの役者さんは皆色気があるなあ。人間的な魅力に艶がある。
家族のしがらみ、それぞれの過去、旅立ち。だいたいにおいて男たちが情けなく、そんな彼らの尻を女たちがたたく。そして男が決意する。しかしそこでまた転んじゃったりする。最後はそれでも笑って終わる。観て良かったな、と毎回必ず思う安定感。活動、継続していってもらいたいです。
ちなみに朝の部に行きました。割安だと言う理由以前にこの日時しか行けなかったので選んだのだが、11時開演にも関わらず満席。そうねー歳とると朝早くても比較的平気になるよね、お互い歳とったねえとなんてニヤニヤしたりもした。こういうのって悪くない。午前中の新宿って、結構気持ちいいですぜ。
稽古場日記はこちら。あー、こういうテイストもじてキンだ。うれしい。
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SPACE雑遊やっと行けたー。広さ、天井の低さ、地下に降りていく雰囲気と地上とのギャップといい、かなり好みのハコ。池林房のすぐ近くです。
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『TOPDOG/UNDERDOG』@シアタートラム
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12月08日(土)
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