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by kai
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■ザ・ファクトリー2『話してくれ、雨のように…』『財産没収』『火刑』『ロング・グッドバイ』
ザ・ファクトリー2 さいたまネクスト・シアター『話してくれ、雨のように…』『財産没収』『火刑』『ロング・グッドバイ』@彩の国 さいたま芸術劇場
“ザ・ファクトリー”シリーズその2、今回はネクスト・シアターによるテネシー・ウィリアムズ一幕劇集連続上演。ちなみに1はこちら→・ザ・ファクトリー1 さいたまゴールド・シアター『白鳥の歌』『楽屋』
以下の順で上演されました。配役・演出はこちら。上演時間は一作品30分前後で計約二時間半、二本目と三本目の間に10分の休憩時間がありました。作品毎に上演場所が変わり、観客はその都度移動します。スペースの画像があるものには、さい芸の公式にリンクを張ってみました、観てない方にもちょっとはイメージがわくかなー。twitterに上演前の画像あげてるひともいるので、興味ある方は探してみてください。
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『話してくれ、雨のように…』@小ホール奥工房
『財産没収』@ガレリア
『火刑』@小ホールステージ上手袖階段
『ロング・グッドバイ』@小ホール搬入口
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(追記:『埼玉アーツシアター通信 No.43』に舞台写真が載りました→PDF版P9)
まずは小ホールに集合。スタッフの説明を聞き、指示を待ちます。作品が上演されない劇場で、ただ待つためだけに席に着く機会はなかなかない。もうこの時点で楽しくなっている。開演時間になると、舞台裏に通される。通路途中には照明器具や脚立と言った舞台素材が雑然と置かれており、ホワイトボードには「道具を勝手に持ち出さないでください」「本日蜷川さんより弁当の差し入れがあります」等の伝言が書かれている。あーもー楽しー。やがて倉庫のようなスペースに通される。キャパは50くらいかな、ベニサン・ピットのような椅子の配置と傾斜。暗転すると本当の真っ暗。
いちばん最初と最後の作品が上演された小ホール舞台裏は、小さな劇場らしいスペースに拵えてあり、部屋の調度品としての装置もしっかり置かれていた。ガレリアはその長い通路を活かし、フロアに線路を敷き、その両側に添って客席が一列ずつ延びている。照明はガラス屋根から入る陽光のみ。ソワレや雨の日の回に観たらまた印象違っただろうな。小ホールステージ袖の階段は三階分程あるのだが、演者はそこを何度も上がったり降りたり、踊り場に座り込んだりと上下の移動で変化を付ける。これは舞台設定にぴったりで、置かれているセットは母親の座る揺り椅子のみなのに、彼らの住居―アパートが目に浮かぶようだった。
テネシー・ウィリアムズのテキストは翻訳ものであり、時代設定も今や現代から少し遡ったものだ。演じる役者とは遠くかけ離れた年齢の役もある。『ロング・グッドバイ』の登場人物は9人、それ以外は男女のふたり芝居。恐らく恋人同士であったり、ボーイ・ミーツ・ガールであったり、母子であったり。使い慣れない言葉と考証の必要がある登場人物の背景。これらと若い役者たちは格闘したのだろう、相当な熱量を感じた。1m足らずの至近距離で観客の視線に晒され、皆が死にものぐるいで、まっすぐな姿を見せる。演出家たちは、彼らに真っ向から対峙する。濃密な空間がそこにはあった。
ザ・ファクトリー1のときにも感じたが、蜷川カンパニーには、長く活動してきたベニサン・スタジオの機構がベースにあるように思う。ファクトリーと言う名称も。ウォーホルに代表されるアトリエとしてのファクトリーの意もあろうが、ベニサン・ピットは紅三の工場跡を利用して作られた劇場だった。ベニサン・ピットはスタジオとともに2009年1月に閉鎖、紅三は今年6月に事業を停止した。劇団がアトリエを持てることは非常に貴重で恵まれている。そしてさい芸は公共施設だ。リーフレットに書かれた蜷川さんの言葉「公共の劇場で演劇公演をする責任感」を思い返す。劇団員のクレジットには新しい名前が並び、その分幾人かの名前が消えていた。しかしこれ迄の公演で「おっ」と思いキャスト表を確かめた名前は残っているなあ。深谷美歩さんの名前がなくなっていたが、彼女の場合はベクトルが逆かも知れない。新国立劇場の『るつぼ』に出演後(彼女は新国立劇場の演劇研修所出身だ)、蜷川版『祈りと怪物』への出演が決まっている(追記:降板されたとのこと。どうしたんだろう、残念)。
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11月24日(土)
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