ID:43818
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by kai
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■矢野顕子『さとがえるコンサート2012 〜清水ミチコとともに〜』
矢野顕子『さとがえるコンサート2012 〜清水ミチコとともに〜』@NHKホール
今年はなんとみっちゃんとのさとがえる。数年前、何の番組だったか矢野さんのドキュメンタリーで、ピアノを練習するやのさんを初めて間近で見たみっちゃんが感激のあまり涙ぐんでいた場面を観たことがあったけど、今ではご本人曰く「すっかりねえ、もう図々しくタメ口ですよ」。やのさんの懐の深さは勿論のこと、その懐に飛び込んで暴れられるみっちゃんもすごい訳で。
いや正味な話、面白いを通り越しておっかねーと思う程だった。「ストーカー」と言うだけあるわ、二階席からだとどっちが唄って弾いてるか判らなくなるときもある程でした(しかし実際のところ、二階席からの方がふたりの手許や口許を見下ろすことが出来るので、一階前方のステージを見上げる形になる席よりは見分けがつきやすかったと思う)。序盤は上手のピアノ(定位置)でやのさんがソロを数曲、その後下手のピアノに移り、定位置をみっちゃんに譲ると言う粋な展開だったのですが、ふたりで「丘を越えて」を演奏し始めたとき、あまりにも似ているので客席が笑いとともにどよめきました。唄いだしてまた笑い声、そしてさざめき。これは共演中何度も起こりました。
声はしばらくすると区別がついてくるんですが、ピアノ…と言うかあのリズム感を完コピしているのにもはや畏怖。いやもともと似てるなすごいなとは思っていましたが、こうやってご本人と一緒にやることで、その凄まじさを再認識させられました。今回ガッツリ共演、と言うよりみっちゃんを大フィーチャリングしたような構成で、やのさんのみのコーナーが少なく感じられ、そこはあーしまった完全ソロのチケットも確保しておけばよかったと思いはしましたが、この企画でしかないものをたっぷり聴かせてもらえてとても楽しかったです。みっちゃんも「今回は鮨は鮨でも珍味のお鮨をね。えっ、これカニカマだったの!?みたいな」。やのさんもそれを受けて「そうよお、ウニとかトロとかは金出しゃ食べられるのよ、でもこのカニカマはここにしかないわよ」。いやホントそうでしたわ。
終始笑いに溢れた場でしたが、端々にみっちゃんのやのさんへの深く濃い愛情と芸への真摯な姿勢を感じることが出来ました。やのさんのピアノについて「絵を描くときって、最初は12色、次に24色って技術が身に付くごとに選択肢も増えていくものなんだけど、やのさんのピアノは…墨一色、水墨画のようで、それもささっと描いているような感じ。それなのに、どうにも真似することが難しい。私40年ピアノ(やのさんの曲)弾いてんですよ、それなのに」とぽつりと漏らしていたのが印象的でした(記憶で書いているのでニュアンスはちょっと違うかも)。
今回特別にモノマネコーナーがあり、事前にwebで募ったリクエストを紹介し乍らふたりでおしゃべり。大ウケのものからなんでそれなんと言う数々のリクエストをみっちゃんが読み上げます。「ザッケローニ監督の通訳」て、それどっちにやってもらいたかったのん……。ケイト・ブッシュの名が出たときはわっと歓声があがりました。個人的にはやのさんとケイト、似ているとは思っていなくて、知ったのもやのさんからなのですが、ご本人曰く「これねえ、イギリスでもアメリカでも、取材のときにほんっと何度も訊かれるの、意識してるでしょって。でもねほんっとに違うの、実はちゃんと聴いたこともなくて…聴いてみても音楽性が違うと思うし……でも今回やるって決めたので改めてちゃんと聴いてみたの」。それに応えてみっちゃん「それなのにモノマネやってくれる矢野さんてひとがいいですね」(笑)。そんなみっちゃんには「キーを下げれば田中眞紀子でイケると思います」とのことでキャロル・キングのリクエスト。リクエストしたひとの発想がすごい(笑)。と言う訳でケイトの「Wuthering Heights」、キャロルの「You've Got a Friend」を。いやあ、鳥肌もんだった。
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12月09日(日)
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