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I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『FESTIVAL de FRUE 2023』DAY1 その1
それにしてもずっと音がいい。出演者の楽器編成も、演奏されるジャンルもバラバラな上、半野外なのに。PAすごいなあと思っていると、フロアに続々と真紅の服やアクセサリーを身につけた観客が集まってくる。GEZANはリハの時点でバチバチの演奏、サウンドチェックからもう凄まじい。このまま聴いていたいが後のことを考えて中座。しかし思いの外ごはんの出来上がりが遅く、並んでいるひと同士で時間かかりますねえでも出来立てはおいしいですもんねなどと話しつつ焦る。すると背後からバグパイプの音色が。タカさんが演奏し乍ら会場に入っていった。ギャ〜始まってしまった! でもこれ、ある意味ラッキーだったかも。スタート地点を見られた訳だし。
■GEZAN(The Hall)
という訳で序盤見逃しましたが聴いてはいたよ! いやはやすごかった……この日にしか鳴らせない音を豪速球で投げてくる。Million Wish Collectiveと鳴らしたFUJI ROCK FESTIVALから約3ヶ月、剥き身の4人。先月突然旅立ったOLAibi、そしてパレスチナ情勢。大きな喪失と怒りをそのままぶつけられたかのようだった。
“神様を殺せ、権力を殺せ、組織を殺せ、GEZANを殺せ”。ステージは「赤曜日」で始まり、「EXTACY」では“お前らは線をまたいだ”と矛盾を暴き、「東京」の“メディアは終わる”を“メディアは終わってる!”と繰り返し叫ぶ。
プロテストソングを鳴らすバンドだと思っているが、それ故「音楽に政治を持ち込むな」などというひとは徹底的に嫌うだろうし、冷笑するひともいるだろう。しかしそれだけ周囲を巻き込む力が強い。無視出来ない。通りすがりのひとを振り向かせる(北、というより強)風と太陽を持ち合わせ、不器用かもしれないが賢さがある。ことを起こす衝動は大きなものだが、頭の後ろは冷え、醒めている。七転八倒し乍らバランスを探す。
ここ迄ラテン、ジャズ、フォークロア、インプロ、ロック。そしてプロテストとスピリチュアルなメッセージ。つくづく不思議なラインナップ。一見バラバラに感じる音楽は、FRUEという場に集まれば“魂の震える音楽体験”になる。垣根などない、いや、垣根を壊せと知らせてくれる。
11月03日(金)
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