ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■東京バレエ団『M』楽日
そしてこの矛盾は、自決のシーンにも繋がっていく。実際には修羅場でしかなかったであろう三島の最期は、このシーンに直結するものではないように思う。あれは死の場面であると同時に、死ぬ迄懸命に「生きた」ことの尊さを表現したものではなかったか。光に溢れ、桜が舞う。一生を走り抜いたことへの労いすら感じるあの明るさは、実際の事件とは切り離されているように感じる。三島由紀夫の一生をこうも美しく描けたのは、あの日を異国から見やったベジャールだからこそ出来たことなのかもしれないと思った。そしてベジャールは、最後に三島作品の登場人物たちが集う場面を用意した。生きる者も、死んだ者も、皆いつかどこかでまた会える。少年は起き上がり、彼らのもとへ走っていく……。命の賛歌は、こうして幕を閉じるのだ。

三島由紀夫の、いや、どの人間でも、その人格は多面的で複雑なもの。一面化することは出来ない。初日の感想にも書いたが、この作品の一部だけが拡大解釈されることなく、上演され続ける平和な世の中が続くことを願っている。

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この日のカーテンコールは感動的だった。池本さんもようやく笑顔に。そして何度目かのコールで、少年役の岩崎巧見がひとり緞帳前に現れた。綺麗なレヴェランスを見せたあと、所在なさげに緞帳の奥を覗く。出てきた笑顔の池本さんが両手を広げて迎える………あんなん親御さん泣いちゃうよ。それにしても岩崎さんは大役を堂々と務めたな。思えば今作、当日パンフレットでは少年役がトップクレジットなのだ。イチ〜シとともに聖セバスチャンのソロを見守るシーンでは、長い時間微動だにしなかった。正座して扇を拡げる迄の時間もとても長いし、その後倒れて最後に駆け出す迄の時間は更に長い。素人は足痺れてない? 大丈夫? なんて思ってしまう。見事だった。三島が観たらさぞや以下同。

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ほら、笑顔(涙)。東バのinsta、画像も動画もいっぱい載せてくれてます





飯田宗孝さん(2022年死去)だ……(涙)





2日目の画像、なかよしイチ、ニ、サン、シ(にっこり)。綺麗に身長順にもなってる

今回の宣美は横尾さんじゃないのねと思ったけど、5年前のキャストがほぼ揃っているから舞台写真使えていいですよね。横尾さんは横尾さんで11月の『MISHIMA』で舞台美術をやるんだよなあ、気になる…

[image or embed]— kai (@flower-lens.bsky.social) Sep 23, 2025 at 20:06
平日一回きりなのよね。しかもこれ、映画『MISHIMA』とのその音楽フィリップ・グラスがモチーフなんだよ〜日本公開出来ないやつ! ちなみに映画での美術は石岡瑛子!
(20251001追記)
とかいってたら『MISHIMA』の上映が決まってビックリ。今のところ東京国際映画祭のみなんだけど、一般公開あるかな? 遺族の許可出たんかな…或いは権利者が変わったか……

09月23日(火)
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