ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■高畠俊太郎 debut 30th anniversary live『’24←’94』
ギター2本によるリフの絡みにシビれる。松平さんとは「いちばん長く一緒にやってるギタリストになった」。そうですね……思えばギターの相棒はしょっちゅう変わっていた。ギターだけでなくバンドも、継続活動としてはLLPがいちばん長い。オリジナルフルアルバムが複数枚出ているのもLLPだけだ。メンバーのやりとりには家族のような空気が流れていた。「踊りたいでしょ?」「手とかあげて、フーっていったりしていいんだよ?(笑)」。確かにこれはスタンディングで聴いて騒ぎたいね! 俊太郎はずっと笑っていた。
俊太郎にはULTRA POPとPOINTER、AUTO PILOTとLOOP LINE PASSENGERの間に(もしかしたらPOINTERとAUTO PILOTの間にもあったかもしれない)「高畠俊太郎BAND」という名義のバンドが存在する。メンバーを集めつつ、新しいバンドのカラーを構築していく。「高畠俊太郎BAND」からLLPへの流れは、カスミさんの度胸がバンドのカラーを決定づけたように感じる。全員が弾けるような笑顔のアー写も最高。ソロ名義の作品も発表しているが、俊太郎にはやはりバンドが似合う。拘りもあるのかもしれないが、そもそもずっとバンドが好きなんだろうな。
「次はULTRA POP先輩が登場です」「怖いんだよ、先輩だから」との言葉を残してインターミッション。
岩崎さんの機材(配線?)がトラブっていたのかセッティングに時間がかかる。ハコのスタッフやトモさんが様子を窺い、裏から部品を出してきたりしている。そのうちサングラスにローゼズTシャツ姿の俊太郎が出てきてどよめきが起こる。「俊太郎!」と声が掛かり、ちらりとそちらを向いたが無口のまま。あ、ULTRA POPの俊太郎だ。
■ULTRA POP
01. warter color
02. マリコ
03. メリーゴーランド
04. let bygones be bygones
05. I have a money
06. ポーギー
en. YELLOW BODY
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それ迄の和やかな空気は何処へやら。緩やか乍ら緊張感溢れる「warter color」でスタート、ギターの轟音に聴き入る。続いてあの(!)ギターのリフから、城くんの激重フィルイン! 「マリコ」!!! この殺気!!! 見かけの印象は皆さんだいぶ柔らかくなったけど、それでもこの4人が揃うと震え上がるような切れ味で音を突きつけてくる。「先輩と幼馴染で」組んだバンドの阿吽の呼吸は、10年ぶりでも変わらない。
ハンドマイクに持ち替えた俊太郎が「いやあ、キャラクターがあるんでね」とやっと喋り出す。「アンケートで同じ楽屋になりたくないバンドに選ばれたことがあって」。それLÄ-PPISCHもそうだった(笑)。「楽屋でゲームやってただけなんだけどね、ファミコンやってただけ」。
確かにメジャー時代のULTRA POPって、そういう(どういう)クールで怖いイメージだったよね…閉じてるというか……。インディーズ時代は音にも見てくれにもカラッとした明るさがあったけど。あれは本人たちの意志だったのか、大人たち(というか、レコ社とか事務所)が打ち出した方向性だったのか。「あの頃は世界を変えられると思ってた」。聴き手としてはそのどちらにも魅了されていたし、その思いは今でも変わらない。
後半は初期のナンバー揃い。「OK行くぜ、」「キメようぜー」。あちこちから悲鳴に近い歓声。音源にも入っている台詞(?)から「let bygones be bygones」! 思い入れのあるひとが多いようで(私もそう)、涙ぐんでいるひとも(私もそう)。それにしても、十代そこそこでこんな歌詞を書いていたのかと思うと恐ろしい。達観と諦観を描いているのに、何故いつ聴いても瑞々しいのだろう。人生のサウンドトラック。
「『〜money』知ってるひと相当だよ? カセットにしか入ってないもん」といっていたけど、フロアの反応からして殆どのひとが知っていたと思われる。自分たちがつくったものを、ずっとだいじにしている。それは聴き手も同様で、ずっとだいじに聴いてきたし、これからも聴いていく。
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11月09日(土)
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