ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『オオカミが現れた:イ・ランの東京2夜ライブ』
「よく聞いていますよ」のPVは、当時ライヴで日本に来たときお金がなくて○○○(駅名いってたけど一応伏せますね・笑)に住んでいたともだちの部屋に泊めてもらっていた。パジャマを着て、部屋で話したりしているうちに曲が出来(!)、PVを撮ろうという話になり、近くの公園に出かけて行って撮った。と話し、「イムジン河」では在日のともだちへと唄う。1番は朝鮮語で、2番は日本語で。

彼女の歌はプロテストソングだと思う。マイノリティへの歌。何故こんなに貧しいひとたちがいるのか。何故愛し合っているふたりが結婚出来ないのか。クィアの韓国人とロシア人のカップルの結婚式で唄った「何気ない道」のあと、今アジアでクィアが結婚出来るのは台湾だけ? と訊き、客席から「最近タイもそうなったよ」という声があがる。民主化記念式典で披露する筈だった「オオカミが現れた」は、尹錫悦大統領の検閲により演奏を禁じられたという。出演する予定だったバンドと、オンニ・クワイヤへのギャラも支払われていない。だから今裁判をしている。私は何も悪いことはしていない。だから勝つ、と強く宣言した。歓声と拍手が起こる。

空気が変わったのは「生きることと眠ることとお姉ちゃんと私(PRIDE)」のとき。演奏前、スクリーンにタイトルが映し出された瞬間、客席に緊張が走ったように感じたのは気のせいだろうか。イ・ランのお姉さんの歌、お姉さんへの歌だ。毅然と唄い終えたあと、長い沈黙があった。何から話そうか考えているようでもある。言葉につまり、頰に涙が流れた。訥々と話し始める。

「オンニ・クワイヤは非婚、クィア、フェミニストのオンニ(一般的にいうお姉さん。年長の女性)たちについて唄う合唱隊だったけれど、今日(昨日)は初めてオンニ(イ・ランの実のお姉さん)のことを一緒に唄えた」。今回の日本公演がライヴデビューだったそう。彼女のお姉さんが自死していることを、観客の殆どが知っている。歌を通して知るオンニの姿。そんなオンニが大好きだったイ・ラン。どうすれば彼女の悲しみを和らげることが出来るのだろう。多くのひとが見守ることで、彼女の心に少しでも平穏が訪れてほしいと願う。

彼女のインタヴューで「ヘル朝鮮」という言葉を知った。ヘルジャパンに生きる自分にもその歌は強く響く。地獄に生きるということ、それに異議を申し立てること。聖書には、弱きものや辛い思いをしているひとこそ世の光であると書かれているのに、現実はそうではない。そういう思いをしているひとのに慰めになれるようなセットリストを組んだと話していた。そんな彼女の歌を聴くことで、わたしたちは彼女の慰めになるだろうか、彼女に寄り添えることが出来るだろうか? 思いを届けたくて、ひたすら拍手を送る。

ジュンイチの病と自身の病。草月ホールは1年以上前から押さえていたので、行けなくなったらどうしようとずっと心配だったそう。チケットの発券スケジュールが延びたりと、こちらもドキドキして待った当日だった。Sweet Dreamsは、彼女の事情を汲んだ上で経過を逐一報告してくれた。滞在は極力短くしたいとのことでゆっくりは出来なかったようだけど、無事終えられてよかった、またいつか。

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イ・ラン with オンニ・クワイヤの東京2公演、たくさんのお客様にお越しいただき、本当にありがとうございました。イ・ランとイ・ヘジ(チェロ)、イ・デボン(ベース他)、カン・ジョンホ(ドラム)、ナナ(キーボード他)の5人。そして、オンニ・クワイヤの5人にあらためて盛大な拍手と歓声を! pic.twitter.com/XNdCPQbMJG— Sweet Dreams Press (@sweetdreamsprs) October 1, 2024
ちなみに東京2公演のセット・リストは下の画像をご覧ください。また、開演前と終演後のBGMのプレイリストも残してありますので、よかったら聴いてみてください。

《開演前》https://t.co/8FC0xax3Wo

《終演後》https://t.co/PVEDG0Amvr pic.twitter.com/xzMBbFtMFf— Sweet Dreams Press (@sweetdreamsprs) October 1, 2024
親ツイートとセトリのみ張りますが、今回のツアーに関わったひとたちのことも丁寧に紹介されているのでスレッド全部読んで〜! プレイリストも有難いです!


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09月29日(日)
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