ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[647693hit]
■『シュリ デジタルリマスター』
ことほどさように今の韓国映画のあらゆる要素が入っている作品なのだが、四半世紀前のものともなると、時代の移り変わりを感じる箇所も多々あった。肩パッドが入ったスーツやボディコンのファッション、パソコンの型、喫煙シーンといった風俗的な面から、必要な台詞を全部喋ってからガクッと絶命するといった演出面の時代性も感じて興味深かった。
いちばん時代を感じたのは音楽。序盤の訓練シーンにアーメンブレイクが使われており、「うわーーーこれ90年代後半のクラブでアホ程聴いた!」と意図せず笑いが出てしまい……今はもうスタンダードな趣すらあるリズムパターンなので、余程の意図がないとサントラでは使わないと思う。しかしここ、笑い乍らもああこのクラブミュージックは当時あちらでも流行っていたのだなあ、と韓国を近く感じたのも事実。
近くて遠い国? いや、やはり近くて近い国だ。無関係ではいられないのだ。本編中、ポカリスエット(スリム缶!)がさりげなく出てきたことにもハッとしたが、それだけではない。日本という国がこの物語に深く関わっていることに気づかされる。『ハント』のジャパンプレミアでイ・ジョンジェが来日した際、岩井志麻子が「日本と韓国は良くも悪くも縁が深い」といっていたことを思い出した。
主題歌のCarol Kidd「When I Dream」は歌詞ともども今作の内容を表した素晴らしい曲だった。その国に生まれた、という運命に人生を翻弄された人々の物語。そして、その物語には日本という国も大きく作用している。そのことがより一層胸を締めつける。
今や大物の役者が瑞々しい演技で……とは感じなかったことにも驚かされました。そりゃ皆さん見た目は若いんですが、ハン・ソッキュもソン・ガンホもチェ・ミンシクも、この時点で演技がもう出来上がってるというか。進歩がないということでは決してなくて、彼らは元々すごかったんだ、と瞠目することしきり。それにしてもハン・ソッキュは色気のある役者ですね。『ベルリンファイル 』でもエージェント役だったなあ。仕草のひとつひとつに憂いがありました。
-----
・シュリ┃輝国山人の韓国映画
いつもお世話になっております! ファン・ジョンミンキャリア初期の出演作なんですが、どこに出てくるかは観る迄知らないでおこうと思ったので(見つけられてよかった…)鑑賞後にこちらの配役一覧で確認。ずっと出てこなくて、あー見つけられなかった、私の目は節穴だった、と諦めかけた頃に出てきた(笑)
・南北分断を描いた“幻の傑作”がスクリーンに蘇る!:『シュリ デジタルリマスター』監督インタビュー┃WIRED
この映画の物語を構造的に見ると、出来事によって構成されているのではなく、人物のストーリーに沿っていることがわかるはずです。つまり、物語の真の主人公は女戦士であるイ・バンヒなのです。(中略)大事なのは、このストーリーはイ・バンヒという女性を中心としているということです。
バンヒを演じたキム・ユンジン、演技もアクションも素晴らしかったな……。ゲリラ撮影のシーンがあったって話もすごい
・公開から24年。韓国映画の歴史を変えた『シュリ』のカン・ジェギュ監督が振り返る撮影秘話┃MOVIE WALKERS PRESS
私たちは固定観念で“映画の中で男性というキャラクターはこうすべきだし、女性というキャラクターはこうあるべきだ”と決めつけていたと思うんです。その壁を壊してこそ何か少し新しい試みができ、観客も新鮮さを味わえるのではないか?と強く考えていました。
09月15日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る