ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■イキウメ『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』
ドラムのみで進める緊迫感あるパートと、エモーショナルなメロディで進めるドラマティックなパートと、音楽(かみむら周平)もしっくり。しかし! 静かな感動が身に沁みていくのを感じていたラストシーンで、砂を落とす装置が起動するガコン、という音が聴こえてしまったのが惜しい! 現実に引き戻された(笑)。仕方ないんだけどねえ。
浜田信也の人外らしさが活かされた作家像でした。観客を虚構へと誘い、あの世とこの世をぐーるぐる。もともと浮世離れした人物を演じることが多い。前川知大がそう当て書きしているのかもしれないし、どう書いても浜田さんからアウトプットされたものがそうなってしまうのかもしれない。その「結果」が面白い。何かを見ていても何を見ているかわからない目をする。怖いですね。安井さんと盛隆二、ふたりの刑事のキャラクターも魅力的。祠を掘り起こしたときの臭いに安井さんは過剰に反応するけど盛さんはさほど動じず、観察に移る。検視官だからね。こういうさりげないところが見事。神は細部に宿りますね。
余談ですが、前述の子どもたちはどうやら浜田さんの関係者だったらしく(ご親戚か、ご友人のお子さんかな?)、カーテンコールではけるときこちらを流し目でゆったり見て微笑まれたんです。そのときの視線や表情の動きが、一度目と二度目(ダブルコールだったので)で寸分違わず同じだった(ように見えた)のにゾクッ。人間をきっちりコピーして化けた狐かなんかっぽかった。これは人外といわれても仕方がない…役者としてすごい技術を持っているといえばそうなのだが……その美しさと色気にも見惚れてしまった。それにしてもお前……小学生に向かってそんな色気の塊投げてくるかと恐ろしくもなりましたよ(笑)。無意識って罪ね。
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いい塩梅に初演を忘れているのでああそうだった! と心の中でポンと掌を叩いたところとええそうだった? と真顔で思いを巡らせるところと、あの世とこの世を行ったり来たり。目印、ウチにもいるのですよ… pic.twitter.com/tPFhAcAhfR— kai ☁️ (@flower_lens) August 24, 2024
初演もデッドぐまだったっけ……? 思い出せない!
・前川知大×安井順平×森下創×大窪人衛「小泉八雲は”聴覚の人”だと思うんです」〜イキウメ『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』インタビュー┃SPICE
前川 語り手によって語られている物語が演劇として立ち上がっていく、というような手法を、この作品以降ずっと続けてきたので、語りと演劇のシームレスな演出とかが、異常に進化したと言っていいぐらいみんなうまくなったんですよ。
現実世界から虚構へ、そしてそれが現実への出口になる。このぬるり感がイキウメならでは。そしてそうなのよ、こちらも聴覚を研ぎ澄ませていたからあのガコン、で我に返っちゃったのよ〜(重箱の隅をつつくみたいですみませんね……)
・イキウメ『奇ッ怪 小泉八雲から聞いた話』┃前川知大&浜田信也&盛隆二 インタビュー┃ローチケ演劇宣言!
盛 怪談って、馴染みやすいと思うんですよ。宇宙人に乗っ取られる、とかって想像力がかなり必要じゃないですか。でも、怪談は日本に根付いているものだから、自分で頑張って風呂敷を広げて物語の立ち上がりを作っていかなくても、わかってもらえる。そのカロリーをほかに使えるんですよ。
前川 100%で嘘をつく必要が無いもんね、怪談なら。もう妖怪はいるけど、いいよね、っていうところから始められるんです。
ああ〜この説明、膝を打つわ。そこで思い出したのがこれ↓
・最近SNSで、どうして耳に日焼け止めを塗り忘れてしまうのかという流れから『耳なし芳一の話』でも耳にお経書き忘れたじゃん、忘れるところなんだよ耳は! という話を目にしまして。日本人のくらしに教訓として残っていく伝承と文学作品というものに思いを馳せました
08月24日(土)
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