ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
[647754hit]
■小林建樹『冬のワンマン 〜UNERI〜』
目を見開いて唄っている。珍しい。いつにも増して表情豊か。途中、顔がくしゃりと歪む瞬間があった。額の汗が目に入ったように見えたが、感極まって泣いているようにも見えた。あれは涙だったのだろうか。フロアを眺める、舞台袖へ何度も視線を送る。フロアはともかく、舞台袖に何が? と思っていたが、最後の挨拶で気がついた。あれはカメラを見ていたのだ。画面の向こうで配信を観ているひとたちへ笑顔を届ける。
うれしかったのは(まあどの曲もうれしいんだが)「Holy Night」をやったこと。以前ファンクラブの特典CDに収録されていた曲だ。歌に入った瞬間あちこちから息を呑むような声があがっていた。クリスマス前に粋なプレゼント。
とりとめのないいつものMC。ひとと会わない話。箱買いしたリンゴをひたすら食べ続けていたら口内炎が緩和した話(しかし薬を飲み続ける程痛い口内炎がずっと出来てるってどんだけ)。笑い声が何度も起こる。有観客ライヴでしか起こりえないやりとり。しかしそこかしこにハッとする言葉が潜んでいる。6年待ってる間に死んでしまうかもしれないじゃないかと怒られた。人間の土台はそのひとの過去でつくられると思っていたが、そうではないと気がついた。未来によってつくられる。未来に楽しみなことがあると、それだけで気分が明るくなる。そういうことでひとは変わっていく。そして今ここ。この瞬間の積み重ねで土台がつくられていく。「イチゴ」の話をする。一期一会。
次回のライヴ告知があったことも驚きだった。しかもそれが来月、高橋徹也さんとのツーマン! あちこちから悲鳴にも似たどよめきが起こる。6年前、『1972』以来のツーマンじゃないか。同い歳、同じ1月生まれ。そしてふたりとも左利き。この6年の間、あちこちで「また共演してほしい」という声を聞いた(というかSNSで見た)し、私もまたいつか実現すればいいなあと思っていた。簡単にそうならないことは分かっていた。その原因は主に小林さんだということも(笑)。
そんなこちらのやきもきした気持ちを知ってか知らずか、ふたりが連絡を取り合い、企画を練っていたと思うと胸が熱くなる。ダブルアンコールの前に「高橋さんとのライヴ、今曲順考えてて」とポツリ。「ひとと会わない」小林さんは、未来のために、今を積み重ねるために、ひとと会い音楽を届けようとしているのだ。
-----
setlist(☆ワンマンライブ感想と演目☆┃風の発光体 diary参照)
Guitar:
01. 素晴らしい日々(『リバース 〜Private Covers〜』)
02. コスモス(『Music Man』)
03. 約束(『Window』)
04. Mystery(『Mystery』)
05. Sweet Rendez-Vous(『曖昧な引力』)
06. 絵になる大人(『曖昧な引力』)
07. ピカレスク(『Music Man』)
08. カナリヤ(『Nagreboshi Tracks』)
09. ジョニークローム(『SPooN』)
---
Piano:
10. Replay(『Blue Notes』)
11. イチゴ(『Rope』)
12. 満月(『曖昧な引力』)
13. ヘキサムーン(『Music Man』)
14. 祈り(『Rare』)
15. Holy Night(『Holy Night』)
16. 歳ヲとること(『曖昧な引力』)
encore 1
17. 目覚め(『Music Man』)
encore 2
18. String(『曖昧な引力』)
-----
胸がいっぱいで語彙がなくなっているので落ち着いたら長文の方にドロドロ書こうかなと…ところでライヴ後行ったとこでもらったおみやげに私だけが爆笑するというこのオチというか引きよせすごくない? 小林さんの威力よ…… #小林建樹 #UNERI pic.twitter.com/yryx3kDXkv— kai ☁️ (@flower_lens) December 10, 2022
「世界が激動している、うねっているということから今日のライヴのタイトルに『UNERI』ってつけたんです。『鳴門海峡』でもよかったんですけどね(笑)」というMCがあったのでした。「徳島に行ったの、おみやげ〜」とこのお菓子出されたときマジで変な声出たし笑ったわ……おいしかったです
[5]続きを読む
12月10日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る