ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■川崎の菊地成孔&ぺぺ・トルメント・アスカラール
「元老院」の堀米さんと大儀見さんがいることの安心感、毎回チャレンジングなソロやリフをブッ込んでくる鳥越さんと林さん。「Killing Time」でディストーションをかけたギターのようなソロが聴こえてきて、鳥越さん何やってんの!? エフェクターかましてるの? と思って見てみれば、ネックと弦の間に紙を挟んでボウイングしている。これ以前もやってたなあ。でもそのときはギターと聴き間違うことはなかった、ここ迄激しくはなかった。それがまたすごく良くて。「小鳥たちのためにII」では流麗、「色悪」では跳ねまくる林さんのリフに、隣席のおばあちゃんはますます激しく身体を揺らす。着席のダンスフロア。牛山さんのカデンツァはますます切れ味鋭く、関口さんは演奏の激しさとは裏腹なアイドルっぷり。弦の四人が固まったのは大きい。
本編を終え、アンコール前に一気におしゃべりタイム。しかも「時間が余ったので」めちゃめちゃ喋る。内容ほぼ書けねえ。まあ大丈夫そうなとこをちょっと。「お客様の前で言い訳といいますか、てめえのことを晒すのもなんなのですがね」と前置き。
今年に入ってから靭帯を二度伸ばし、熱いカレーを喰って口蓋を火傷、行った歯医者で歯根がヤバい、インプラントにする? 自分の血液を培養して歯根を再生出来ます、あっそうします! てことで今は仮歯です。演奏なんてしちゃダメです、いや演奏しないなんて出来ませんという歯科医との押し問答の末、演奏したらその都度CT撮って経過を診ましょうということになっています。さっき演奏してたらミリッていって、血の味がしてきましたあっはっは。いつものあの話術でまあウケるウケる。
しかしそうしたオモシロ話のなかに、やっぱり芸能もんとしての真摯な姿勢と、聴衆に対する礼節がある。歌舞伎の話から、玉三郎丈の「お客様にああ今日来てよかった、生きていてよかったと思って頂けるものをお届けするために日々お稽古している」という言葉を引用し、「本日の公演がそうあれば幸甚に存じます」。
CDJがセッティングされていたので「大空位時代」はやるだろうと思っていた。「我々の楽団による演奏権(レパートリー権)を頂けたので」とのこと。いろいろ制約があるなか、演奏出来るのはうれしいこと。てかサントラ出してほしいわ〜。お願いしますよNHKさん。
本日最後の、この曲終盤に地震があった。なにせ両隣がノリノリだったため、座席はずっとゆさゆさ揺れていたので最初は気付かなかった。ズン、と突き上げるような揺れがありハッとする。客電がつく。それを知るや知らずや楽団は演奏を続け、やがて聴衆の動揺も静まった。「お客様にああ今日来てよかった、生きていてよかったと思って頂けるものをお届けするために日々お稽古している」。今日の演奏を象徴するような出来事だった。
アスリート的な面もある訳で、以前から60(65だったか?)になったら実演は引退みたいなことをいってるからなあ……。いつ迄も聴けると思うなよということで行けるときは行っておきたい。何しろこんな名手、他にはいないのだ。生きることの痛みと苦しみ、そして快楽を届けてくれる名手は。
その後メルマガが届く。やはり歯はヤバいことになったそうです。そりゃそうですよね……やっちゃった瞬間のことが書いてあったけど、序盤も序盤、「京マチ子の夜」1サビで派手にリードミスをして「わっ、大丈夫?」と思った箇所だった。そういう面倒全部診てくれるいい歯医者さんのようでよかったです。という訳でお祓いに行ってください(再)!
11月03日(木)
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