ID:43818
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by kai
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■東京バレエ団『かぐや姫』『中国の不思議な役人』『ドリーム・タイム』
で、睡魔が忍び寄ってくる訳です。あのーあるじゃないですか、あまりに心地よくて眠くなるという……観客を眠らせるのが今作の本望ではないのかと都合よく考えてしまうくらいなんですが、で、寝てしまうというのも贅沢極まりない鑑賞法なのではないかと思うのですが、いやいや負けたらあかんとなんとか踏ん張りました。
着地の音が聴こえないくらい静か。リフトも軽々(、のように見える)。羽根が空中を舞うように踊るダンサーたちの存在すらも夢のように映る。カーテンコールで彼らの笑顔を見て、やっと現実に戻ることが出来ました。

『かぐや姫』第1幕
演出振付:金森穣
音楽:クロード・ドビュッシー
竹(の精)の美しい群舞、照明、映像含む演出も華やかでスピード感がある。ドビュッシーの『海』で何故竹取物語? と思ってたけどそうか、海〜月〜月の光か! とようやく合点がいった(遅い)。音のハマりも絶妙で、選曲の妙に唸る。
波が竹林に変わっていく群舞のフォーメーションが非常に面白く、ポワントで踊っているのに音が涼やかというか、うるさく感じないのも新鮮。笹がそよいでいるようにも聴こえる。かぐやの成長を影絵で表現するシーンでは小さなため息のようなどよめきがあちこちから起こる。
ため息といえば「月の光」パ・ド・ドゥでも漏れていた。この日のかぐや=足立真里亜、道児=秋元康臣のコンビネーションもバッチリ。愛らしくてやんちゃなかぐやと、童と大人の狭間で哀愁を滲ませる道児。ふたりの孤独を月が照らす、優しさに溢れたパ・ド・ドゥ。ダンサーの力量が発揮されるリフトも見応えあった。
好みが分かれそうなところも結構あった。衣裳はものすごく竹竹していてぬぬーとは思った。ひと目でそうと分かるといえばそうなのだが、うーん。髪型からしてかわいらしい童たちの、仕草と体型のギャップは楽しんで観られた。ホントかわいかったな〜。
翁が欲に目が眩んでというふうに見えなかったのは、私が舞台に立つ飯田宗孝御大を観るのが初めてだったからかもしれないな……恐れ多くも、や〜かわいらしいとか思ってしまった。最初は嫗の位牌(と解釈した)を拝んだりして健気な感じだったのだが。今後黒衣がどう使われていくか興味がある。翁を乗っ取ってしまうのかな。
2幕、3幕の披露は再来年とのこと。楽しみです。

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・プレス向け公開リハーサル&記者会見レポート ー金森穣振付「かぐや姫」第1幕 世界初演┃NBS
「超常的な存在である緑の精がポワントで踊るのは必然ですし、振付家としてトライしたかった。ポワントなしでもできたかと思いますが、東京バレエ団の委嘱ですから、女性のポワントの群舞と男性の群舞は、絶対にやりたいと思った。これはNoismではできないので!」

・【特集:金森穣×東京バレエ団「かぐや姫」A】足立真里亜インタビュー〜かぐや姫として舞台に生まれて、1幕分の人生を生きる。その姿をお客様に楽しんでいただきたいです┃バレエチャンネル
「かぐやと童たちはトウシューズを履きません。少なくとも今回上演する第1幕はずっとバレエシューズです。穣さんから理由を聞いているわけではありませんが、もしかすると、それがかぐやのあどけなさや童心を表現しているのかもしれません」

・自身の中に言葉をもってないと動きに現れない 小林十市の語る「中国の不思議な役人」の世界┃東京バレエ団
振付に忠実に踊るだけでは表現出来ないものがあるが、「ベジャールさんの動きは音にぴったりとはまっているのですから、あとは、音楽通りに動けば客席に伝わる」。「芝居」についての言及もとても興味深い

・役の内面を理解し、動きを台詞のように 池本祥真、「娘」役に初挑戦!┃東京バレエ団
「彼は自分の中に葛藤をかかえていて、女を演じる振りの中に時折、自分に嫌気がさしているような部分があるんです。彼の内面が振りのはしばしににじみ出ることで作品に深み、面白さが出る」

・【インタビュー】東京バレエ団「中国の不思議な役人」主演!大塚卓〜ベジャールの振付は、動きに終わりがない。踊っていて「自由」を感じます┃バレエチャンネル

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11月07日(日)
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