ID:43818
I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
by kai
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■『International Choreography × Japanese Dancers 〜舞踊の情熱〜』
音楽:ジュール・マスネ
出演:上野水香(東京バレエ団)× 柄本弾(東京バレエ団)
映像コメントで「観ればわかると思いますが、男性ダンサーは女性ダンサーをずっと持ち上げているので体力的にもハードな踊りです」といわれていました。まさにその通り、リフトが何回あったか……リフトしたまま上下、左右に動かすところも多数。こりゃ大変だ。しかし上野さんは羽根のように軽く見え、柄本さんは軽々とリフトしているように見える。共演も多いふたりなので、安心して観られます。とても華やか。
以前柄本さんがインタヴューで、リフトした女性ダンサーを落としてしまったときの話をされていたのを思い出しました。『ボレロ』初舞台で、直前に雨が降った野外ステージが滑って満足いく踊りが出来ず、終演後突っ伏して泣いたという話もしていたなあ。どちらも共演者に助けられたと感謝を口にしていた。こういうことって忘れてしまいたい、隠しておきたいものでしょうに、それを話して強くなっていく柄本さんは、とても正直で素直な方なのだなあと思います。
■『スパルタカス』よりパ・ド・ドゥ【日本初演】
振付:デヴィッド・ビントレー
音楽:アラム・ハチャトリアン
出演:佐久間奈緒 × 厚地康雄(バーミンガム・ロイヤルバレエ団)
ハチャトリアンといえば『剣の舞』。『THE BEE』の再演が発表されたばかりということもあり、尾藤イサオのカヴァーver.が脳内で鳴り響きましたが、この曲は美しく不穏な空気もなくホッとしました(?)。
再び登場、厚地さん。公私にわたるパートナーである佐久間さんとの、ドラマが感じられる踊りでした。
ここからフィナーレ迄ベジャール作品。クレジットはありませんが、ベジャール作品は十市さんが振付指導をしています(後述の作品紹介頁に記述あり)。書かれていなくても当然、という感じですね。
■『椿姫のためのエチュード』
振付:モーリス・ベジャール
音楽:フレデリック・ショパン、フランチェスコ・チレア
編曲:フランツ・リスト
出演:中村祥子
初演を踊ったのは、クリスティーナ・ブランとのこと。ベジャール・バレエ・ローザンヌの中核メンバーで、十市さんのパートナーでもあります。
登場した途端に客席がキリリとした空気になった。椅子を使い、ダイナミックでエモーショナル、同時に繊細なダンス。格好よかった!
そしてトリ、1999年に十市さんが一度踊って以来、21年ぶりの復活となる『M』。ビデオで自習し、ベジャールのチェックは出発前の一度だけだったと話す十市さんのコメントと、そのときの映像が流れました。貴重!
■『M』
振付:モーリス・ベジャール
音楽:黛敏郎
出演:池本祥真(東京バレエ団)
そもそもこれを観たくて足を運んだのですが、当日パンフレットを見てトリだったので面喰らう。すごいな!『M』W―シ(死)の金閣寺のソロと、『ザ・カブキ』由良之助のソロで構成。ブリッジに登場した黒子役は東京バレエ団の山下湧吾さんだったそうです。和楽器のリズムと謡で進む曲に乗せ、機敏でしなやかな踊り。滞空時間の長いジャンプ、足音が聴こえない軽やかな着地。
昨年以来の『M』、そして初めて観る『ザ・カブキ』。思えば『ザ・カブキ』は本編も未見なのだった。
ベジャール作品を踊る池本さんはこれからもいろいろ観ていきたいなあ。11月の『中国の不思議な役人』では娘を踊る予定とのこと、今から待ち遠しいです。
さて、ここで終わりかと思いきや、カーテンコールを終えた池本さんが再び踊り出す。あれっ、この曲……。『M』(本編の方)幕切れの少年のように、舞台に横たわる。舞台奥から現れる、一列に並んだダンサーたちのシルエット……『火の鳥』! ストラヴィンスキーの『火の鳥』だ!
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09月18日(土)
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